認知症と水分の関係について
高齢者は、身体の中に水分を溜めておく力が衰えること、喉の渇きを感じにくくなったり、トイレに行く回数を減らそうと水分を摂る量を抑えたりするために、「水分不足」になりがちです。
人間の身体の60~70%を占める水分が不足することは、体調の悪化につながります。
認知症の人も、水分不足により体調を崩し、それが問題行動につながる場合もあります。
今回は、認知症と水分について説明します。
認知症の悪化と水分不足の関係
認知症の人は老化以外にも、「水分不足」になりやすい要素があります。
(1)水分を摂らなければいけないという認識がない
認知症の人は、自分で水やお茶を飲む能力があっても、水分不足を防ぐために自分から水分を摂ろうという意識が働きません。
そのために、飲みましょうと促されないと水分を摂らなくなります。
(2)室温や衣服による体温の調節ができない
認知症の人は、暑い日にもたくさん服を着ていたり、窓を開けたりして室温を調節しようという判断力が低下します。
(3)食事や水分が飲み込みにくくなる
認知症の人は、飲み込みが悪いと、食事の量が減ったり水分でむせたりして、充分な水分を摂れなくなります。
水分不足になると、便秘しやすくなったり意識がボーっとしたりして、不機嫌な状態になったり怒りっぽくなったりして、問題行動が増える要因になります。
認知症の人の水分摂取量を増やす工夫
認知症の人の水分不足を防ぐために、食事以外にも3時のおやつとして、お茶やコーヒーをすすめましょう。
ただし、お茶やコーヒーには利尿効果がありますから、薄めのものを用意しましょう。
甘いものが好きな場合は、スポーツ飲料でもよいでしょう。
入浴後や散歩の後などは、喉の渇きを感じ易くなるので水分を多めにすすめましょう。
むせやすい認知症の人には、ゼリー状の飲み物がおすすめです。
スポーツ飲料のゼリーの他にも、「ラクーナ飲むゼリー3S」「ごっくんゼリー」など、水分補給目的の商品もあります。
認知症の人には、水を飲みましょうと言うだけでは飲んでくれません。
水分の多い果物をすすめたり、おしゃべりしながらティータイムにしたりという工夫も必要です。