認知症とPC-DHAの働きについて
認知症とPC-DHAの働きをご説明する前に、PC-DHAがどのようなものであるかお話します。
皆さんのなかには、DHA(ドコサヘキサエン酸)という言葉を聞いたことがある方が多いのではないでしょうか。
DHAは青魚などに多く含まれることから、昔から「魚を食べると頭がよくなるから食べなさい!」と言われながら育った方もいることでしょう。
PC-DHAとは、DHAがPC(ホスファチジルコリン)に結合した脂質の一種です。
ここでは、認知症とPC-DHAの関係性についてご説明します。
認知症とPC-DHAの関連性について
認知症に関連したPC-DHAの働きのなかで最も関連性が深いのは、レム睡眠を増やし熟睡できる効果があることです。
レム睡眠には、起きている時間の体験を脳内に固定する働きがあります。
睡眠の質が重要視されるのは、このレム睡眠が関係しているからです。
認知症の方の約30%に睡眠障害がみられることはご存知でしょうか。
とくにアルツハイマー型認知症の方には、夜間の睡眠持続障害がみられます。
認知症の方は夜間に眠りが分断されて、レム睡眠が低下します。
また、睡眠時無呼吸症候群(睡眠中に10秒以上呼吸が停止することが1時間に5回以上出現する状態)の頻度が高いことが判明しています。
つまり、認知症の方は睡眠障害をかかえている、もしくは睡眠障害を招きやすい状態なのです。
認知症とPC-DHAの働きでは、アセチルコリンも関連性が高いでしょう。
PCはアセチルコリンを作り出す物質であると推定されています。
アルツハイマー型認知症の方の記憶障害は、その原因のひとつにアセチルコリンの減少があるとされています。
認知症の方の多くが服用されている、ドネペジル塩酸塩(アリセプト)はアセチルコリンを補充する作用があります。
以上のことから、認知症の方にとってPC-DHAの摂取が有効であるとご理解いただけたと思います。
認知症でPC-DHAの摂る場合は?
さて、認知症の方のPC-DHAの効果的な摂り方をご紹介します。
PC-DHAは人間の体内から作りだすことができない栄養素です。
食品やサプリメントから摂ることをおすすめします。
PC-DHAが多く含まれている食品は魚卵です。
主にサケやマスの魚卵、イクラ、カズノコなどから摂取できます。
DHAだけを摂取するのであれば、青魚から摂取することが可能です。
イワシの香味蒸しやサバの味噌煮など、馴染みのある料理が多いため、日々の食事にも取り入れやすいでしょう。
手軽に魚の缶詰を利用する方法もあります。
しかし、サケやマスの魚卵やイクラ、カズノコなどを毎日の食卓に取り入れることはなかなか難しいと思われます。
食品からPC-DHAの摂取は、お正月や誕生日など特別な記念日にとどめて、普段はサプリメントから摂取してはどうでしょうか。
PC-DHAのサプリメントを服用する場合は、かかりつけ医に相談する、または用法や用量を確認してから飲み始めてくださいね。
高齢者や認知症の方は記憶の障害があるため、薬だけではなくサプリメントを飲み忘れたり、規定量よりも過剰に摂取したりする場合があります。
どんな良薬も過剰に摂取してしまうと身体に悪影響があります。
サプリメントを服用するときは、服薬カレンダーを利用する、もしくは介護者と一緒に確認しながら服薬してはどうでしょうか。