高齢者の飲み込む力が衰える理由!鍛える方法や対処法はあるの?
高齢者になると嚥下(えんげ)能力、つまり「飲み込む力が衰える」ということはご存じでしょうか?
飲み込む力が弱くなると日常生活に支障が出てきたり、事故が起こる危険性もあります。
場合によっては命の危機に繋がるかもしれませんよ。
今回は、高齢者の飲み込む力が衰える理由、鍛える方法や対処法についてご説明します。
高齢者の飲み込む力が衰える問題点
高齢者の飲み込む力が衰えると、具体的にどのような問題が生じるのでしょうか?
日常生活に支障が出たり、事故に繋がる危険性があると書きましたが、その部分をいくつか項目に分けて掘り下げて説明します。
お正月に餅を喉に詰まらせて緊急搬送された、そんなニュースを聞いたことはありませんか?
そもそも餅は粘性があるため喉に詰まりやすいものですが、飲み込む力が低下すると通常の食材でも喉に詰まるリスクが上がってしまいます。
最悪の場合、呼吸困難に陥りそのまま命を落とす可能性もありますよ。
飲み込む力が弱くなると、むせやすくなったり、固形物が食べにくくなります。
そうなると、日々の食事の傾向が偏ることがあります。
柔らかく、食べやすいものだけを選んで食べることによって食事内容が偏り、結果として栄養バランスが崩れ、健康に悪影響がおよぶ心配があるわけですね。
食事の低栄養化は、体重の減少や、病気を引き起こしたりしやすくなってしまいます。
特に、高齢者の場合、回復能力が衰えているため、一度体調を崩してしまうと回復まで時間が掛かってしまいます。
食事が偏り、倒れてしまって入院。
入院先で身体の自由が利かなくなり、老人ホームや老人保健施設の検討を始める。
そんなパターンは良くありますよ。
食事って楽しいものですよね。
美味しいものを食べると気分が良くなりますし、満足感を得ることが出来ます。
ですが、飲み込む力が低下して普段の食事で中々飲み込めなかったり咽たりするとどうでしょう。
普段の食事が楽しいどころか、苦痛になってしまうかもしれません。
食事は生きるための栄養を補給する面が大きいですが、それだけではありません。
食事中は会話が弾むこともあるでしょうし、食事を楽しむことで精神的にも良い影響があります。
それが無くなると前述した健康への悪影響もありますし、鬱などを招き精神的に疲弊することもありえます。
飲み込む力が弱くなるとこのような問題が生じるわけです。
では、そもそも、なぜ飲み込む力が衰えてしまうのでしょうか?
高齢者の飲み込む力が衰える理由(原因)は?
飲み込む力が衰える理由は複数考えられるので、こちらも項目を2つに分けてお話しますね。
まずは、加齢によって飲み込む力が衰えるケースが考えられます。
人間の身体は加齢によって衰えていくことはご存じだと思いますが、飲み込む力も衰えていくんです。
嚥下(飲み込むこと)も筋肉運動なので、加齢と共にこの機能も衰えていくわけですね。
また、高齢になると歯が抜けたり、唾液の分泌が少なくなります。
筋肉の低下もそうですが、これらの要素が重なって飲み込む力が衰えていきます。
恐らく、加齢によるものが一番身近で分かりやすい飲み込む力の低下の理由ですね。
私の祖父母も高齢になって麺類を好むようになりましたが、噛み切りやすく喉越しが良いからだったようです。
程度の差はありますが、誰であっても飲み込み力は低下するのです。
加齢以外にも、病気によって飲み込む力が弱くなることがあります。
脳梗塞や、パーキンソン病などがその代表ですね。
脳梗塞になると、後遺症として身体の麻痺を起こすことがあります。
手足が動かしづらくなってしまう、というのは良く聞く話ですが、飲み込む機能も麻痺してしまうことがあります。
パーキンソン病の方は脳梗塞と比べて聞き馴染みがないかもしれませんね。
我々が身体を動かすとき、脳から筋肉に命令を伝えて身体を動かします。
パーキンソン病は筋肉に命令を伝えるドーパミンという物質が不足する病気です。
この病気によって『食べ物を飲み込め』という脳の命令が上手く伝わらなくなってしまうことがあります。
病気による飲み込む力の衰えは生活習慣を改善することである程度防ぐことが出来るかもしれませんが、加齢は誰にでも起こるものです。
そこで大事になるのが、飲み込む機能を鍛えることです。
高齢者の飲み込む力を鍛える方法
飲み込む力を鍛えるにはどうすれば良いのでしょう?
なかなかイメージが湧きづらいかもしれませんが、今回はカンタンな方法を2つお話しします。
嚥下体操(えんげたいそう)を取り入れている高齢者施設は、けっこう多いと思います。
飲み込む力も筋肉を使うので、筋肉をほぐすと食べ物が喉に詰まったりするリスクが減ります。
やり方はカンタンです。
首を軽く捻ったり、舌を出し入れして動かしましょう。
嚥下体操で大事なのはリラックスすることです。
姿勢を正して深呼吸するなどして出来る限り自然体で行いましょう。
また、嚥下体操は一度に長い時間をかけて行う、というものではありません。
数分で良いので食前に毎日の習慣として行うと効果が徐々に現れてきますよ。
音楽を流してリズムを作ったりと色々工夫している施設もありますね。
実はカラオケは飲み込む力を鍛える、という点で有効なんです。
カラオケで発声することで、自然に喉の筋肉を鍛えることが出来ます。
特に、高い音を出そうとすると効果的です。
カラオケはレクリエーションとしても人気ですね。
多くの高齢者が経験したことがあるので、参加も抵抗が少ないのでしょう。
また、類似しているものとして発音トレーニングがあります。
か行、た行、ま行、ら行の発音は飲み込む時と同じ筋肉を使うため、より効果が出ます。
嚥下体操やカラオケを継続的に行うことで効果が出てきますが、身体の機能には個人差がありますから、中々効果を実感出来ない高齢者もいるかもしれませんね。
誰であっても加齢は起こりますし、鍛えても飲み込む力が衰えてしまうこともあるでしょう。
実際にそのようになってしまった場合、どのような食事を出せばいいのでしょうか?
高齢者の飲み込む力がそれでも弱い場合の食事内容
飲み込む力が弱い高齢者のお食事と聞いて、まずイメージしやすいのは食材を細かく刻んで調理を行うものでしょうか。
固くて大きい食材は嚙み切れなかったり、飲み込むのが大変だったりするので、食材の大きさを調整することで食べやすくなりますよ。
カレーやシチューといった料理は液状なので食べやすいですが、その時にジャガイモや人参といったものは出来るだけ小さくした方が良いでしょう。
また、肉類であれば叩くなどして柔らかくしておきたいですね。
魚であれば焼き魚よりとろみが付いた煮魚の方が食べやすいでしょう。
食材をカットしたり、食べやすいものを選ぶ他に献立自体にも気を付けましょう。
我が家の例に出すと、祖父母はのど越しの良いうどんを好んで食べていましたが、一緒にだし巻き卵を作ることが多かったですね。
たんぱく質が取れますし、舌で潰せるため高齢者にはぴったりです。
また茹でたうどんだけでは飽きてきますから、私の母親はうどんにサラダを加えてドレッシングをかけたサラダうどんなるものを作っていました。
このように栄養バランスを考え、かつ飽きないような適切な献立を考える必要があるわけですね。
色々な条件を踏まえた上で献立を考えるのは大変ですから、クックパッドや料理本を参考にして乗り切りましょう。
ただ、なかなかそこまで意識することは難しいですし、時間が取れないので厳しいという方が多いのが現状だと思います。
ちなみに、ウチもそうでした。。。
そんな中、私が使ってとても良かったのがやわらかい宅配食の『やわらかダイニング』というサービスです。
「やわらかダイニング」は、噛む力・飲み込む力が弱くなってきた方向けに、見た目や味、飲み込みやすさ等に配慮したやわらかい宅配食を届けてくれます。
レンジで温めるだけでやわらかい食事が完成するので、作り手の負担を大幅に軽くして、さらに美味しく食事を楽しんでもらえるのが良かったですね。
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まとめ
今回は高齢者の飲み込む力が衰える理由、鍛える方法や対処法についてお話ししました。
飲み込む力が衰えると喉に食べ物が詰まる危険性があり、健康にも悪影響が出てきます。
食事自体が楽しくなくなる、ということもあるかもしれません。
飲み込む力が衰える理由としては加齢と脳梗塞やパーキンソン病といった病気が挙げられます。
嚥下体操やカラオケ、発声を行うことで鍛えることが出来ますが、もし飲み込む力が衰えてきたようであれば食事内容には気を付けましょう。
食材をカットしたり、肉を叩いたりなどの食材の工夫も大事ですが、飽きがこないように栄養バランスを考えた献立作りも大事です。
一人で考えることに限界を感じたらクックパッドや料理本を参考にしても良いでしょう。
そこまでやるのが難しい方は、私が使って良かったやわらかい宅配食の『やわらかダイニング』を利用すると良いと思います。
高齢者の中には「食事が唯一の楽しみ」とい方も多いので、ぜひ美味しく食べさせてあげてくださいね。