アルツハイマー型認知症と性差について
アルツハイマー型認知症の発症率に男女の違い、性差はあるのでしょうか?
アルツハイマー型認知症の患者数は、男性よりも女性の方が多いとされています。
ある程度の年齢になって来ると、アルツハイマー型認知症の発症率の性差は気になるところですよね。
今回は、アルツハイマー型認知症と性差についてお伝えします。
アルツハイマー型認知症に性差がある理由は?
アルツハイマー型認知症に性差がある理由はなんでしょうか?
まず、認知症の主な原因疾患は、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症です。
認知症の発症率と罹患(りかん:病気にかかっている状態)率は、75歳を過ぎると急激に高くなります。
65歳以上の人のアルツハイマー型認知症の罹患率は、高齢になるにつれて右肩上がりに増えていきます。
しかし、認知症全体の罹患率は、85歳から減少し始めます。
日本人の平均寿命は男性=79.64歳、女性=86.39歳であることから、性差としては85歳以上の高齢者は女性の方が多いといえます。
85歳以上の認知症高齢者の性差では、圧倒的に女性のアルツハイマー型認知症が多いという事になります。
64歳以下の若年性認知症の性差については、どうでしょう。
<静岡県の調査>30歳~64歳で認知症のある444人 (平成26年調査)
アルツハイマー型認知症の割合 男性=21.6% 女性=24.8%
<青森県の調査>18歳~64歳で認知症のある526人
アルツハイマー型認知症の割合 男性=26.0% 女性=28.3%
調査した年や調査対象者の男女比は異なりますが、両県とも性差として女性の方がアルツハイマー型認知症の割合が高くなっています。
アルツハイマー型認知症の発生因子は、まだ分かっていません。
しかし、卵巣を摘出したマウスの実験では、アルツハイマー型認知症を起こすアミロイドβという物質が増えるという結果があります。
このことから、女性は閉経後にアルツハイマー型認知症になるリスクが高くなると考えられます。
アルツハイマー型認知症の性差と対策
アルツハイマー型認知症の性差に対して、何かできることはあるのでしょうか?
女性は閉経後に、アルツハイマー型認知症の発生リスクが高くなるとお伝えしました。
これは、糖尿病や骨粗鬆症の発症についても同様ですので、そこにも性差があると言えるかも知れません。
糖尿病になると、アルツハイマー型認知症を発生するリスクが高くなることが知られています。
骨粗鬆症などで骨折しやすくなると、外出頻度が減りアルツハイマー型認知症を発生するリスクが高くなると考えられます。
以上のことから、女性は出来るだけ閉経が遅れるように、食事や運動に注意して若々しく過ごす必要がありそうです。
アルツハイマー型認知症の対策面でも、性差を意識した方が良さそうですね。
閉経前からはホルモンバランスの崩れを防ぐように、ストレスや睡眠にも注意しましょう。
アルツハイマー型認知症は、症状が出る前から脳の変性が始まっています。
初期では物忘れなどの症状も軽く、見過ごされがちです。
女性は、閉経後にアルツハイマー型認知症のリスクが高まると考えられます。
糖尿病や骨粗鬆症などを予防することも、アルツハイマー型認知症の発症を予防するために有効でしょう。