アルツハイマー型認知症の症状の特徴について
アルツハイマー型認知症の症状の特徴には、どのようなものがあるでしょうか?
認知症といえば「物忘れ」「アルツハイマー」と、連想される方も多いことでしょう。
アルツハイマー型認知症の症状の特徴といえば、「物忘れ」が有名です。
たかが物忘れ、されど物忘れ。
実は、アルツハイマー型認知症の症状の特徴である物忘れは、一般的な老化による物忘れ(健忘)とは全く違います。
今回は、アルツハイマー型認知症の特徴的な症状についてお伝えします。
アルツハイマー型認知症の症状の特徴「物忘れ」とは?
アルツハイマー型認知症の症状の特徴「物忘れ」についてご説明します。
まず、認知症の原因となる病気は70種類ともいわれ、その症状の特徴はさらに枝分かれします。
その中でアルツハイマー型の認知症が占める割合は、60%程度とされます。
64歳以下で症状が発症した場合、「若年性アルツハイマー型認知症」と言います。
若年性アルツハイマー型認知症は、特徴としては男性のほうが多い傾向にあります。
65歳以上で症状が発症するアルツハイマー型認知症は、女性のほうが多い傾向にあるのが特徴です。
アルツハイマー型認知症の特徴として、脳の細胞内にアミロイドβやタウという、特殊なたんぱく質が溜まることによって起こります。
これらの特殊なたんぱく質により、脳の神経細胞は破壊されていきます。
その結果、脳が縮んで小さくなります。(=脳の萎縮)
アルツハイマー型認知症の初期に萎縮が起こってくるのは、脳の「海馬」と呼ばれる部分です。
海馬は、「記憶」に重要な役割を持つ部位です。
見える、聞こえる、匂いがする、熱い(暑い)、冷たい(寒い)などの情報は、海馬でタグが付けられてパッケージ化されます。
このパッケージ化までが、短期記憶です。
例えば、母親が留守のときに、母親あての電話がかかってきたとしましょう。
あなたは電話を受けたら、伝え忘れないようにメモを書くかもしれませんね。
メモを見た母親が、電話の時の相手の様子を尋ねたら、あなたは答えられるでしょう。
ところが、アルツハイマー型認知症の場合、自分でメモを書いたにもかかわらず忘れてしまいます。
「そんなメモは書いていない」と言うかもしれません。
「電話がかかってきた」ことを覚えていないので、その時の相手の様子などもわかりません。
アルツハイマー型認知症の症状は、「電話がかかってきて、メモを書いた」という、パッケージの記憶が残らないというのも特徴なのです。
アルツハイマー型認知症の物忘れに付随する特徴的な症状
アルツハイマー型認知症の症状の特徴である「物忘れ」は、短期記憶の障害です。
つまり、アルツハイマー型認知症の人にとって、目の前に無いものは存在しないものになります。
これが「もの盗られ妄想」という特徴的な症状につながります。
「もの盗られ妄想」とは、財布やお金を隠したことを忘れて、「○○さんが盗った」と言うなどです。
食事が済んで空の食器を片付けてしまうと、「食べていない」となります。
認知症の症状で、基礎となる障害(物忘れ=記憶障害)を中核症状といいます。
それに付随する症状を周辺症状といいます。
認知症の介護の際に問題とされるのは、周辺症状です。
アルツハイマー型認知症の症状は「物忘れ」といわれます。
しかし、正確に言うなら「覚えられない」というべきかもしれません。
「1時間前に食事をしたこと」を「覚えていない」から、食べていないと言うのですね。
食事の内容やメニューの一部を忘れてしまう「健忘」とは、大きく違います。
アルツハイマー型認知症の方に接する時には、このような症状の特徴を「覚えておいて」くださいね。