アルツハイマー型認知症の症状「作話」について
アルツハイマー型認知症の人には、「作話」という症状が見られます。
これは、決して、アルツハイマー型認知症の人がウソをついているというワケではありません。
作話は、認知症による「出来ない」「分からない」を隠すための、自己防衛の手段と考えられます。
今回は、アルツハイマー型認知症の症状の1つ「作話」についてお伝えします。
1)アルツハイマー型認知症の症状「作話」の原因は?
アルツハイマー型認知症による作話というのは、どのようなことを指すのでしょうか?
ここで、私が、アルツハイマー型認知症の母と旅館に宿泊した時の言葉をご紹介しましょう。
母:ここはね、お父さんと来たんだよ。(初めて来た旅館です)
あの下に家が見えるだろう。
前は、そこに泊ったんだよ。(その建物も旅館の一部で、初めての場所です)
上記の母の言葉は、全て作話です。
アルツハイマー型認知症の人が、ありもしない話をする症状を「作話」といいます。
アルツハイマー型認知症の人の作話は、忘れたことを取り繕うためや不安なために起こります。
認知症の検査などで日付を質問した時に、「最近カレンダーを見てないからね」などと言う場合もありますが、これも作話の一つと考えられます。
アルツハイマー型認知症の人は、「自分が認知症である」ということは、忘れたり理解できないかもしれません。
しかし、「物事をうまく出来なくなっている」「頭がスッキリしない」などの自覚症状があるといわれます。
このように自分の不安を隠すために、その場しのぎの話をして表面を取り繕うことが「作話」になると考えられます。
2)アルツハイマー型認知症の「作話」の対策
アルツハイマー型認知症の作話に対しては、どのように接して行けばよいのでしょうか?
前記の旅館での作話では、見知らぬ場所での「不安」があったと考えられます。
アルツハイマー型認知症の「作話」に対しては、間違いを正したり、「うそでしょう」と否定してはいけません。
まずは、話を聞いてあげましょう。
「○○さんが盗んだ」などの被害的な話なら、「そう思うのですね」と受け止めましょう。
その上で、「どうしたらよいと思いますか(どうしたいですか)」などと聞いてみましょう。
介護する人の、「後で聞いておきますね(探しておきますね)」などの言葉で落ち着く場合があります。
ご近所や親戚などにも、アルツハイマー型認知症の作話があることを伝えておきましょう。
思わぬ誤解から、トラブルになることを防げるかもしれません。
アルツハイマー型認知症の人の「作話」は、ウソではありません。
不安を隠すための、自己防衛の表れです。
「作話」を否定すると、アルツハイマー型認知症の人が興奮したり怒ったりする場合があります。
「作話」には、アルツハイマー型認知症の人の「不安感を理解する」という態度で接してみましょう。