アルツハイマー型認知症の嚥下障害について
アルツハイマー型認知症の方に、嚥下障害(えんげしょうがい)という症状が現れることがあります。
まず、ご確認いただきたいのが、アルツハイマー型認知症の人が、食事の時にムセることはありませんか?
熱が出やすかったり、肺炎になったりしませんか?
アルツハイマー型認知症の人がムセやすい場合、嚥下障害になっているかもしれません。
今回は、アルツハイマー型認知症の嚥下障害についてお伝えします。
アルツハイマー型認知症で嚥下障害を起こす原因
アルツハイマー型認知症で嚥下障害を起こす原因とは、いったい何でしょうか?
まず、嚥下障害とは、食べ物や飲み物を飲み込みにくくなっている状態のことです。
食事などを飲み込むためには、口、舌、咽(のど)の筋肉をタイミングよくしっかりと動かす必要があります。
アルツハイマー型認知症になると、他人との交流を避けてしまう場合があります。
そうなると、しゃべる機会も少なくなります。
しゃべる機会が減ると、口、舌、咽を動かすことが少なくなり筋力が低下します。
重度になり意欲や筋力が低下しても、嚥下障害になります。
睡眠薬や鎮静効果がある薬剤を服用している場合も、嚥下障害を起こす可能性があります。
アルツハイマー型認知症の方が嚥下障害を起こすと、食べ物や飲み物を食道に送り込むことが出来なくなります。
食べ物や飲み物が、食道でなく気管から肺に入ってしまう状態を「誤嚥(ごえん)」といいます。
嚥下障害になると、食事中にムセて咳こむことがあります。
気管や肺に空気以外の異物が入ると、咳をして体外に出そうとします。
肺に異物が入ると、炎症を起こして肺炎になります。
これを「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」といいます。
誤嚥性肺炎では、高熱が出ない場合があります。
37~38℃の発熱が、出たりよくなったりします。
高熱ではないからといって放置すると、重篤な肺炎につながりますので注意が必要です。
アルツハイマー型認知症の嚥下障害の対策
アルツハイマー型認知症による嚥下障害には、どのような対策があるのでしょうか?
嚥下障害の予防と対策
(1)口の体操
口、舌、咽の筋力低下を防ぐためには、たくさんしゃべることが有効です。
地域で開催される「口腔体操」などに参加することもよいでしょう。
「パ・タ・カ・ラ」の発音を繰り返すと、嚥下障害の予防になります。
(2)薬の見直し
アルツハイマー型認知症の方が、睡眠薬や鎮静効果がある薬剤を服用している場合は、医師に相談しましょう。
(3)持続的な発熱に注意
高熱でなくても発熱が続く場合は、誤嚥性肺炎も視野に入れて医療機関を受診しましょう。
(4)食事形態の見直し
パサパサしたもの、ポロポロしたものは、飲み込みにくいものです。
ご飯は水分を多めにして柔らかく炊くか、お粥にしてみましょう。
肉・魚・野菜などは小さめに切りましょう。
あんかけ風にトロミをつけると、飲み込みやすくなります。
お茶はムセやすいので、市販のトロミ剤でトロミをつけましょう。
アルツハイマー型認知症では、嚥下障害は起こしにくいとされます。
しかし、口、舌、咽の筋力低下や睡眠薬などの影響で、嚥下障害を起こす可能性があります。
食事の時にムセたり微熱が続く場合には、医療機関に受診しましょう。