アルツハイマー型認知症と意識障害について
アルツハイマー型認知症には、意識障害という症状があります。
アルツハイマー型認知症の人が、夜中に突然大きな声を出すことはありませんか?
数分前まで普通に話をしていたのに、急にワケの分からないことを言い出すことはありませんか?
このような症状があると、認知症が急に進行したのかと思ってしまいますね。
アルツハイマー型認知症の人のこのような症状は、意識障害の可能性があります。
今回は、アルツハイマー型認知症の意識障害についてお伝えします。
アルツハイマー型認知症で意識障害になる原因は?
アルツハイマー型認知症に限らず、意識障害という言葉を聞くと「重症」のイメージがありますね。
意識障害には、重度の「昏睡」から、軽度の「傾眠」まで段階があります。
意識障害の段階
(1)昏睡:手足に全く力が入らず、痛み刺激にも全く反応しない状態
(2)半昏睡:痛みや刺激に顔をしかめたり、かろうじて手足が動く状態
(3)昏迷:ぐったりしているが自分で手足を動かせる状態
※ 「手を握って」などの簡単な指示に従えることもある
(4)傾眠:呼びかけに目を開けたり返事をしたりするが、刺激がなくなると目を閉じて眠ってしまう状態
※認知症などでみられる「せん妄」を起こす状態
(5)清明:意識障害が無く覚醒している状態
アルツハイマー型認知症は、急激に進行することはありません。
夜中に大声を出したり、急にワケの分からないことを言い出したりした場合、意識障害の「せん妄」を起こしている可能性があります。
アルツハイマー型認知症で意識障害のせん妄を起こす原因
- 脱水:発熱や熱中症など
- 感染症:肺炎、膀胱炎、中耳炎など
- 栄養障害:糖尿病で低血糖症状のある時など
- 酸素不足:貧血、肺や心臓病で脳の酸素が不足
- 骨折や外傷:痛みや炎症があるなど
- 薬の副作用:睡眠薬など
アルツハイマー型認知症で意識障害がある場合の対策は?
アルツハイマー型認知症で意識障害のせん妄が起こった場合、速やかに原因を調べる必要があります。
意識障害のせん妄が起こっている最中は、興奮したり暴力的になっている場合があります。
ですから、無理やり抑えたりしないで、離れて見守りましょう。
アルツハイマー型認知症による意識障害のせん妄は、24時間ずっと続いていることはありません。
少し時間を置いて落ち着いたら、せん妄を起こす原因が無いか観察しましょう。
その後には、必ずかかりつけの医師や専門医を、早期に受診しましょう。
アルツハイマー型認知症の人が急に悪化したような症状があったら、意識障害のせん妄かもしれません。
せん妄は一次的な意識障害で、適切な治療で改善することが出来ます。
アルツハイマー型認知症のせん妄を防ぐためには、日ごろから体調や飲み薬に注意するとよいでしょう。