アルツハイマー型認知症の症状「幻視」について
アルツハイマー型認知症の症状の一つ「幻視」という言葉をお聞きになったことはありますか?
誰もいないのに、「そこに子供がいる」などと言われたら、ギョッとしてしまいますね。
アルツハイマー型認知症をはじめとする認知症の症状では、幻覚(幻視・幻聴など)が出現することがあります。
幻覚には、声などが聞こえる「幻聴」、無いものが見える「幻視」、体に感じる「体感幻覚」などがあります。
今回は、アルツハイマー型認知症の症状でもある「幻視」についてお伝えします。
アルツハイマー型認知症で幻視の症状は中期以降?
認知症初期の段階で幻視の症状が見られると、レビー小体型認知症と考えられる場合が多いでしょう。
しかし、アルツハイマー型認知症の症状にも「幻視」が無いわけではありません。
アルツハイマー型認知症で幻視が症状として見られるのは、中期以後になってからです。
統合失調症などの精神疾患の場合は、幻聴のほうが多いようです。
ちなみに、アルツハイマー型認知症の初期症状としては「妄想」のほうが多く見られます。
妄想で多いのは「被害妄想」です。
物を盗られたという「もの盗られ妄想」、夫(あるいは妻)が浮気をしているという「浮気妄想」などです。
被害妄想は、架空の人物ではなく一緒に住んでいる夫や嫁などに向けられます。
アルツハイマー型認知症で幻視の症状が現れる場合は、架空の人物や動物などが見えます。
アルツハイマー型認知症の幻視症状の例
- なじみのあった人がしゃべっている
- お客さんのために食事を用意したのに、食べない
- 大勢の人が殺し合いをしている
- 大きな女がそこにいる
- そこにオニがいる
- 猫が足元にいる
アルツハイマー型認知症の症状として幻視が現れる時には、見えるだけでなく、会話や物音も聞こえているのかもしれません。
アルツハイマー型認知症の症状「幻視」の対処法
アルツハイマー型認知症になった方に「幻視」の症状が現れた場合、やみくもに否定するのは逆効果です。
「そんなはずは無い」
「バカなことを言わないで」
などと、認知症の人の言っていること、見えているということそのものを否定しないほうがよいでしょう。
「私には見えないけど、いるんだね。」
「それ(その人)がいて、こわいの?」
などと、認知症の人の気持ちを受け止めましょう。
その上で、「悪いことはしない(危害は加えない)から、大丈夫ですよ。」と伝えましょう。
アルツハイマー型認知症の人に幻視の症状があると、周囲の人達は混乱しますね。
幻視による興奮が強く、生活に支障が出るようなら、認知症専門医や精神科医に相談しましょう。