アルツハイマー型認知症と嗅覚障害について
アルツハイマー型認知症の症状に「嗅覚障害」があります。
嗅覚障害とは、文字通りニオイを感じる嗅覚に対する障害のことです、アルツハイマー型認知症とは密接な関係にあります。
最近の研究により、嗅覚障害の検査をアルツハイマー型認知症の早期発見に利用するといったことも考えられています。
今回は、アルツハイマー型認知症と嗅覚障害についてお伝えします。
アルツハイマー型認知症の嗅覚障害の原因
アルツハイマー型認知症の嗅覚障害の原因について以下のような研究があります。
<米国のラッシュ大学医療センターの研究>
54~90歳の男女589人を対象に、嗅覚検査を5年間を実施しました。
嗅覚テストの結果が悪かった人ほど、アルツハイマー型認知症に移行するリスクが高いことが分かりました。
嗅覚テストが平均点以下の場合、50%以上認知症になるリスクが高いという結果になりました。
嗅覚障害の原因
(1)呼吸性嗅覚障害:アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎などで臭い成分が届かない
(2)末梢神経性嗅覚障害:ウイルス(風邪など)で臭いセンサーが不調
(3)中枢神経性嗅覚障害:臭いを感じる脳神経の不調
アルツハイマー型認知症で嗅覚障害が起きる原因は、中枢神経性嗅覚障害です。
嗅覚神経は、脳の海馬や大脳辺縁系の近くまで伸びています。
アルツハイマー型認知症の早期では、海馬や周囲の血流低下があります。
嗅覚神経周囲の血流も低下するので、嗅覚障害が起こってくると考えられます。
中枢神経性嗅覚障害は、パーキンソン病や頭部外傷などでも起こります。
アルツハイマー型認知症の嗅覚障害の対策
鳥取大学医学部の浦上教授は、アロマテラピーで嗅覚を刺激してアルツハイマー型認知症を改善する研究をしています。
最近の研究で、嗅覚神経と海馬には再生能力があると分かってきたためです。
アルツハイマー型認知症の予防や改善が期待できる嗅覚障害対策
朝~午前中:ローズマリーとレモン
夕方~寝る前:ラベンダーとオレンジ
*アロマオイルは100%植物性のものを使用すること
1日に3~4杯のコーヒーのカフェインが、脳を活性化
インスタントでも良いが、しっかりと香りの立つほうがよい
香辛料のサフランの成分は、アルツハイマー型認知症薬のドネペジル塩酸塩と成分が似ている
使用する際は、充分に香りが立つ良質のものを使用するとよい
嗅覚障害を早期に発見でアルツハイマー型認知症のリスクを知る
グローバルエンジニアリングという会社が、~もの忘れアルかなチェック~「はからめ」という商品を発売しています。
「はからめ」は、10種類の臭いで認知症の早期発見の手助けをしようというものです。
「病院に行くほどでは…」とアルツハイマー型認知症の不安がある方や、認知症検査を嫌がる方などの受診のきっかけに使えそうですね。
*「はからめ」は認知症の診断をするものではありませんので、ご注意ください。
嗅覚障害の改善が、アルツハイマー型認知症の予防や改善につながりそうですね。
嗅覚障害の対策と言っても、嫌いな香りを無理に嗅ぐ必要はありません。
日ごろからよい香りを意識することで、アルツハイマー型認知症を予防しましょう。