アルツハイマー型認知症の見当識障害について
アルツハイマー型認知症の症状に「見当識障害」というものがあります。
見当識とは、「今はいつで、ここはどこで、私と周囲の関係はどうなっているか」という認識のことです。
アルツハイマー型認知症による見当識障害が現れると、いろいろな困ったことが起きるようになります。
今回は、アルツハイマー型認知症の見当識障害についてお伝えします。
1)アルツハイマー型認知症の見当識障害の症状
アルツハイマー型認知症になると、必ず「見当識障害」になります。
見当識障害は、記憶障害と同様にアルツハイマー型認知症の中核症状だからです。
アルツハイマー型認知症の見当識障害は、「時間の認識」の障害から現れます。
健常な人でも、常に時計を見て生活しているワケではありませんね。
でも、おおよその時間は推測することが出来ます。
それは、朝何時頃に起きてどのような行動をとったかを記憶しているからでしょう。
また、アルツハイマー型認知症になると、「記憶障害」になります。
起きた時に時計を見ても、それを忘れてしまう場合があります。
行動したり身の回りに起こったことも、忘れてしまう場合があります。
そうなると、今がいつ頃なのかという見当識障害になるのでしょう。
アルツハイマー型認知症の見当識障害は、次に「場所の認識」が障害されます。
通い慣れた場所に行かれないなどが起こります。
これは、見ている場所の空間認識力が低下するためです。
アルツハイマー型認知症になると、立体図を描くことが出来なくなります。
最後に出てくる見当識障害は、人の認識の障害です。
人の顔の区別がつきにくくなります。
人の認識は、声や話し方、見た目の年齢、話しの内容からでも出来ます。
そのため、アルツハイマー型認知症が軽~中度の時期には、顔以外の情報から人の認識が出来ると考えます。
しかし、自分の年齢の認識が無くなってくると、自分の子供と孫の区別がつかなくなったりします。
アルツハイマー型認知症の見当識障害の対応
アルツハイマー型認知症の見当識障害の対応についてお伝えします。
アルツハイマー型認知症で見当識障害のある場合は、1日の流れ、1週間の流れなどを分かりやすくしましょう。
「○時なので、~をしましょう。」などと声をかけましょう。
アルツハイマー型認知症で見当識障害のある場合、散歩や買い物など、戸外での活動も大切です。
できれば午前中に外出しましょう。
日光を浴びることで、昼夜の区別がつきやすく夜も眠りやすくなります。
アルツハイマー型認知症で見当識障害のある人は、部屋の模様替えなどで、見慣れた景色が変わると混乱しやすくなります。
入院や入所などで環境が変わった場合は、介護者がこまめに声掛けをしたり、見慣れたものを周囲に置くようにしましょう。
アルツハイマー型認知症の見当識障害は、避けられない中核症状です。
間違いを訂正すると、アルツハイマー型認知症の人は「否定された」と感じる場合があります。
上手く話を合わせて、必要な援助をしましょう。