アルツハイマー型認知症と体重減少について
アルツハイマー型認知症と体重減少することは、一見、関係無いように思いますね。
ところが、最近の研究によって、アルツハイマー型認知症と体重減少に関係があることが分かって来ました。
それも、いろいろな研究者によって、たくさんの研究結果が報告されています。
今回は、アルツハイマー型認知症と体重減少の関係についてお伝えします。
アルツハイマー型認知症の体重減少の原因
アルツハイマー型認知症による体重減少の原因の研究についてご紹介しましょう。
<ワシントン大学医学校の研究>
446人を6年間調査した結果、125人がアルツハイマー型認知症を発症しました。
認知症にならなかった321人は、年間約272gの体重減少が見られました。
アルツハイマー型認知症の人は、発症1年前より年間約544gの体重減少が見られました。
<東京医科大、高齢診療科、羽生教授の研究>
認知機能検査(MMSE)と体重の変化を調査しました。
認知機能検査の点数が悪化すると、体重も減少していました。
<マサチューセッツ総合病院の研究>
62~90歳の280人を調査した結果、BMIが低い人ほど脳内にアミロイドβの蓄積が広範囲に及んでいました。
(脳細胞にアミロイドβという物質が溜まると、アルツハイマー型認知症を発症します。)
体重減少の原因は、「フレイル」によるものではないかとコメントしています。
アルツハイマー型認知症の発症と体重減少の関係は、まだはっきりとはしていません。
しかし、複数の研究者がその関係を示唆しています。
上記の「フレイル」とは、心身の活力が低下・脆弱になって、生活機能が障害される状態です。
認知症になる→心身の活動が低下→体重減少(?)
心身の活動が低下→体重減少→認知症(?)
体重減少が先か、アルツハイマー型認知症が先か、とても興味深いですね。
アルツハイマー型認知症の体重減少の対策
体重減少とアルツハイマー型認知症について、どちらが先に起こるのかは、はっきりしません。
しかし、フレイル(心身の活力低下)の状態が関係することは、明らかです。
したがって、アルツハイマー型認知症の発症や悪化を防ぐためには、フレイルの状態で体重減少しないことが大切でしょう。
フレイルの体重減少を予防する対策
(1)日常生活に運動を取り入れる
筋力・身体機能の低下を防ぐために、歩くなどの運動をしましょう。
歩く場合は、早歩きを意識しましょう。
(2)社会的交流を持つ
外に出掛けて、人と話しましょう。
仕事、買い物、趣味、旅行など、楽しんで活動しましょう。
(3)低栄養に注意
肉・魚・卵などをしっかりと食べましょう。
ご飯やパンばかり食べて体重を維持しても、低栄養になってしまいます。
過剰な食事や運動不足による肥満は、望ましくありません。
しかし、高齢になってからの体重減少には、注意しなければいけませんね。