アルツハイマー型認知症の意欲低下について
アルツハイマー型認知症では、意欲低下という症状が見られます。
意欲低下というと「気持ちの持ちよう」のような印象を受けるかも知れません。
しかし、アルツハイマー型認知症の意欲低下は、気分転換で簡単に改善するものではありません。
それは、脳細胞の活動が低下することに由来するからです。
今回は、アルツハイマー型認知症の意欲低下についてお伝えします。
アルツハイマー型認知症の意欲低下の原因は、どんなこと?
アルツハイマー型認知症の意欲低下の原因は、どんなことにあるのでしょうか?
仕事や勉強などの意欲が低下する原因には、「仕事(勉強)に興味が無い・意義を見出せない」「疲れている」などがあるでしょう。
うつ病などで意欲低下が起こるのは、脳内の情報伝達物質が減少することが原因とされています。
アルツハイマー型認知症の意欲低下では、脳の海馬という部分の萎縮(ちぢみ)が起こります。
海馬の萎縮が見られる前から、海馬、視床・視床下部、側頭葉周辺の血流が低下することも分かっています。
血流が低下しているということは、その部分の働きが悪いことを示します。
アルツハイマー型認知症で意欲低下の原因
(1)疲れやすい
アルツハイマー型認知症の人は、今まで意識しなくても出来ていたことが、次第に出来なくなります。
そのことが意欲低下という症状を引き起こす要因となります。
今まで普通に出来てたことが出来なくなると、あらゆる面で注意深く意識的に行動しないと、日常生活に支障が出ます。
生活するだけで多くのエネルギーが必要となるため、疲れやすくなると考えられます。
疲労で脳の働きがますます悪くなるという、悪循環になってしまいます。
(2)脳細胞の活動低下
アルツハイマー型認知症では、目や耳から情報が入って来ても反応しにくくなります。
テレビを見てもよくわからないとなれば、見ようとは思わなくなりますね。
そのようなことも、意欲低下につながると考えらえます。
アルツハイマー型認知症の意欲低下の対策
アルツハイマー型認知症の意欲低下に対する対策を、大まかにお伝えします。
(1)今まで行っていた習慣・仕事・趣味などは、なるべく続けられるようサポートしましょう。
(2)アルツハイマー型認知症と診断されても、新しいことが全く出来ないワケではありません。
疲れやすいことを考慮して、短い時間から始めてみましょう。
(3)週間予定表や日課表を作って、何をするか明確にしましょう。
決して押し付けたりせずに、ご本人が楽しくできる工夫をしましょう。
アルツハイマー型認知症の意欲低下は、気持ちの持ちようで起きるものではなく、脳細胞の変性・減少によるものです。
アルツハイマー型認知症は進行性の病気のため、意欲低下も進行してしまいます。
出来るだけ今までの仕事や趣味・習慣を続けられるようにサポートしましょう。