レビー小体型認知症の末期はどんな状態?
レビー小体型認知症の末期とは、どのような状態なのでしょうか?
がんの末期と聞くと、深刻な状態と想像する方が多いと思います。
きっと、レビー小体型認知症の末期と聞くと、具体的に想像できない方のほうが多いのではないでしょうか。
レビー小体型認知症は、体のどこかが強く痛むなどの症状はありません。
体全体が衰えてくる、という印象です。
今回は、レビー小体型認知症の末期症状についてお伝えします。
レビー小体型認知症の末期症状について
レビー小体型認知症の末期症状について具体的にご説明しましょう。
(末期症状1)体の動きにくさ
レビー小体型認知症の症状で、末期的と考えられる症状は、体の動きにくさではないでしょうか。
レビー小体型認知症は、パーキンソン病との合併(あるいは、パーキンソン症状の出現)が高い確率で見られます。
- 自分で動こうとしても、思うように動けない
- 体のバランスがとりにくく、転びやすい
レビー小体型認知症は、このような理由により、車いす・ベッド上での生活になりかねません。
転んで骨折してしまうと、それにより急激に体力を消耗する場合があります。
末期症状の一つである体の動きにくさは、しゃべりにくさ、飲み込みにくさとしても現れます。
(末期症状2)意識状態の悪化
レビー小体型認知症の末期症状の2つ目は、意識状態の悪化です。
レビー小体型認知症は、意識がはっきりとしていて認知症には見えないこともあります。
ボーっとしていて無気力にみえたり、表情が乏しく不機嫌に見える時もあります。
病気が進行して末期に近づくと、ボーっとしている時間のほうが長くなってきます。
目を開けていても、反応の無いことも。
このような時には飲食が進まないので、体力の消耗が激しくなります。
レビー小体型認知症の末期に備えることは?
レビー小体型認知症と診断されたら、末期に備えるためにどうすれば良いでしょうか?
普段から肉・魚・野菜などをしっかりと食べましょう。
リハビリテーションを受ける・無理のない運動を続けるなどして、足腰を鍛え体力をつけておきましょう。
手洗い、歯磨きをこまめにして、感染症にかからないようにすることも大切です。
薬の副作用や体の動きにくさから、便秘がちになります。
便秘になると食欲が低下しますので、定期的に排便があるように注意しましょう。
- 段差のあるところには手すりを付ける
- つまずかないように、部屋の中を整理整頓する
- 敷物は敷かない(めくれないように固定する)
レビー小体型認知症は、体の動きにくさなどから、介護の量が増えてきます。
どの程度の介護量ならば自宅で過ごせるのか、どのような状態になったら施設入所するのかなどを、話し合っておきましょう。
体調が良くなると、施設から自宅に戻れる場合もあります。
「施設に入所したら、もう帰れない」などと決めつけずに、その時々で柔軟に対応しましょう。
レビー小体型認知症の末期で飲み込む力が低下すると、口から食事をとることが難しくなります。
病院でできる医療処置には、次のようなものがあります。
- 鼻から胃に管を通す「経鼻経管栄養」
- 胃に穴を開ける手術が必要な「胃ろう」
- 太い静脈から点滴で栄養を入れる「中心静脈栄養(IVH)」
いずれの場合も、介護施設では受け入れに制限があります。
もちろん、これらの処置を行わずに「自然に」という選択肢もあります。
神経難病やレビー小体型認知症の方の様子を見ていると、健康な人の数倍のスピードで老化が進むようだという印象を受けます。
そう考えるとレビー小体型認知症の末期とは、ものすごく特殊なことではなく、誰にでもやがては訪れる状態という気がします。
レビー小体型認知症をやみくもに恐れるのではなく、正しい知識や情報を持ち、専門医やケアマネ、介護スタッフと協力しながら過ごしてくとよいのではないでしょうか。