認知症と「物忘れ」の違いについて
買い物から帰ってきてから「アレ買うの忘れた」と、思い出すことがありませんか?
このようなことが度々あると、「自分は認知症ではないか?」と不安になりますね。
そんな「物忘れ」が、加齢による場合と認知症による場合では、何かちがいがあるのでしょうか?
今回は、「認知症の物忘れ」と「加齢による物忘れ」のちがいや見分け方についてお伝えします。
認知症の物忘れと加齢による物忘れのちがいは?
認知症の物忘れのちがいを知るために、記憶のメカニズムから見ていきましょう。
記憶には、以下の「3段階」のメカニズムがあります。
- 記銘:見たり聞いたりした情報を覚える(インプット)
- 保持:得た情報を蓄える(メモリー)
- 再生:情報を取り出す・思い出す(アウトプット)
加齢による物忘れや「ど忘れ」「うっかり忘れる」は、再生(アウトプット)の障害です。
これとちがい、認知症による物忘れは、記銘(インプット)の障害です。
例えば、「人との待ち合わせの約束を忘れた」という場面で考えてみましょう。
加齢による物忘れでは、「待ち合わせの約束をした」ことは、覚えています。
でも、当日にハプニングがあったり忙しかったりすると、うっかり忘れることがあります。
認知症の物忘れは、「待ち合わせの約束をしたこと」自体を忘れます。
認知症の物忘れでは「そんな約束をしていない」と、なってしまうのです。
認知症の物忘れと加齢による物忘れのちがいの具体例
- 物忘れしたという自覚がない(加齢の場合は、物忘れの自覚がある)
- 体験そのものを忘れる(加齢の場合は、体験したことは忘れない)
- ヒントを与えられても思い出せない(加齢の場合、ヒントがあれば思い出せる)
- 日常生活に困難や支障がでる(加齢の場合、日常生活には問題ない)
- 理解力や判断力も低下する(加齢の場合、理解力や判断力の低下は少ない)
認知症の物忘れと加齢による物忘れの見分け方は?
認知症によるものも、加齢によるものも、一見同じ「物忘れ」ですが、いったいどうやって認知症と見分ければよいのでしょう。
認知症の物忘れと加齢による物忘れを見分けるコツ
物忘れをして不安に思ったり、困ると思ったりしている場合は、加齢による物忘れの可能性が大きいでしょう。
物忘れを指摘された場合、全く意に介していないようなら認知症の疑いがあります。
また、「そんな覚えはない」と怒りだしてしまう場合も、認知症の可能性が大きいでしょう。
「買い物のためにメモしたことすら忘れる」など、自分で体験したことそのものを忘れる場合、認知症の可能性が大きいでしょう。
認知症の物忘れと加齢による物忘れのちがいは、記銘(インプット)できるか否かの記憶障害です。
認知症の物忘れが、「新しいことから忘れる」と言われるゆえんでもあります。