認知症の原因となる物質?アミロイドβについて
認知症の中でも、脳の細胞が変性しておこるタイプの認知症は、その原因について分からないことがたくさんあります。
例えば、「アルツハイマー型認知症」の原因となる物質には、「アミロイドβ」というたんぱく質が関係していると考えられています。
ところが、2015年3月に発表されたアメリカのメイヨ―・クリニックの医師による研究では、アミロイドβが蓄積しても認知機能は障害されないとする報告がありました。
今回は、認知症の原因と推測されるたんぱく質、「アミロイドβ」と「タウ」についてお伝えします。
認知症の原因となるアミロイドβたんぱく質とは?
アミロイドとは、水に溶けない糸状の異常なたんぱく質のことで、これが身体の中に溜まる病気を「アミロイドーシス」と言います。
アミロイドーシスには、「全身性」と「限局性」があります。
全身性のアミロイドーシスには、沈着した臓器により、心臓障害・腎臓障害・胃腸障害・末梢神経障害・自律神経障害がおこります。
脳に限局したアミロイドーシスの1つの病態が、アルツハイマー型認知症と考えられています。
アミロイドーシスを起こす異常なたんぱく質にはいろいろありますが、アルツハイマー型認知症の原因と考えられているのは、アミロイドβたんぱく質です。
認知症の原因となるタウたんぱく質とは?
「アルツハイマー型認知症の原因」とされるもう1つの物質に、「タウたんぱく質」があります。
タウたんぱく質は、脳細胞の中に多量にあり、脳のネットワーク機能に必要なたんぱく質です。
ところが、このタウたんぱく質が「リン酸化」して水に溶けなくなると、塊を作り脳細胞の死滅を招きます。
なぜ、正常なタウたんぱく質が変性してしまうのかは、分かっていません。
異常なタウたんぱく質は、「アルツハイマー型認知症」と「前頭側頭型認知症」の原因になると考えられています。
認知症については、様々な角度から世界中の研究者が日夜研究を重ねています。
認知症の原因が解明されて、予防方法や治療法が確立される事を願ってやみません。