認知症とフレイルの関連性について
認知症と関わっている中で、フレイルという言葉に遭遇することがありますが、皆さんは聞いたことがありますか?
フレイルとは、加齢とともに筋力や認知機能が衰え、要介護状態や死亡などの危険性が高まっている状態を指します。
日本老年医学会が2014年5月に発表した、フレイルはFrailty(虚弱)の日本語訳です。
Frailtyは「虚弱」以外にも「老衰」と訳されることがあります。
つまり、健康な状態と要介護状態の中間的な段階の高齢者といえるでしょう。
フレイルは、高齢者のなかでも、後期高齢者といわれる75歳以上の高齢者によくみられます。
ここでは、そんな認知症とフレイルの関係性についてご説明します。
認知症とフレイルの関係において重要なポイント
認知症とフレイルの関係性のご説明の際、もっとも重要となるのは、「虚弱」ではなく、あえてフレイルという言葉を周知するにいたった理由です。
認知症の方に限らず、誰でも老化に伴って心身が変化します。
食欲が低下する、社会交流の機会が減少する、筋力が衰える、慢性的な疾患をいくつもかかえているなど、さまざまな問題が出てくるでしょう。
とくに認知症の方と深く関連しているのが、認知機能の低下です。
認知機能とは、記憶・見当識・思考・知覚などの機能です。
認知症の方は、個人差がありますが認知機能障害が生じます。
この高齢化に伴う心身状態や環境などの変化により、フレイルの段階になってしまいます。
しかし、フレイルは適切な支援を行うことにより、生活機能などの維持・向上が期待できます。
フレイルという概念、及びフレイルの高齢者に介護予防を行う重要性をより多くの人が理解する必要があります。
なぜなら、フレイルの高齢者に適切な対応をすることで、認知症の予防にもつながるからです。
認知症とフレイルの予防について
認知症とフレイルの予防について、多面的にご説明します。
高齢になると身体的な衰えは当然のことでしょう。
その身体面の衰えを予防するためには、簡単な体操や運動が効果的です。
無理のない範囲で体を動かすことにより、食欲の低下を予防することも可能です。
口腔体操や口腔ケアも身体面の衰えを予防します。
高齢者にとって、筋力の向上はなかなか難しいかもしれませんが、維持には効果的です。
認知症の方は、ご家族と一緒にラジオ体操から始めてはどうでしょうか。
他にも、地域のカルチャーセンターや通所介護(デイサービス)を利用する方法もあります。
認知機能の低下の予防には、下記の方法をご紹介します。
季節の行事や季節の食材を使った料理を楽しむことで、時の見当識の低下予防になります。
日記を書くことで、記憶の低下予防になります(認知症の方は、ご家族がお手伝いしてくださいね)。
コミュニケーションは思考力の低下予防になります。会話を楽しみましょう。
高齢者の方の視覚、聴覚、嗅覚、味覚など、弱まった知覚をさりげなくおぎなってください。
うつのような症状がみられたら、すぐに専門医を受診してください。
記憶障害や軽度の認知障害が認められる場合は、軽度認知障害(MCI)の場合もあります。
私たちは社会とともに生きています。社会交流を積極的に行うことで認知症とフレイルの予防になります。
散歩に出かけて近所の方と会話をすることも、社会交流の一環です。
久しぶりに友人と連絡をとっても良いでしょう。
認知症の方は、ご家族が趣味の支援や友人関係の調整役になると、円滑に社会交流ができるでしょう。
刺激のある日常を送るように心がけて、認知症とフレイルを予防してくださいね。