認知症の予防や改善にアロマセラピーが効果的?
認知症の予防や改善の現場で、アロマセラピー(アロマテラピー)が効果を発揮しています。
古い写真を見て、「昭和の香りがする」という表現もあるように、香りにはいろいろな意味が込められますね。
香りは、鼻の粘膜にある「嗅細胞」で感知されて、大脳辺縁系に情報として伝わります。
大脳辺縁系とは脳の中心部にあり、進化の過程から見ると古い脳に分類される部分です。
古い脳とは、呼吸や代謝をつかさどる生命の維持に深くかかわる脳で、食欲や身を守るなどの本能的な行動にかかわる脳の部分です。
アロマセラピーは、その脳に直接働きかけることができるものとして、注目されています。
今回は、認知症の予防や改善に効果があるアロマセラピーについて説明します。
認知症の予防や改善になぜアロマセラピーが効くのはなぜ?
アルツハイマー型認知症では、脳の海馬(かいば)という部分に委縮が起こります。
海馬は、大脳辺縁系という嗅覚が直接伝わる古い「脳の一部」のため、香りが海馬にも影響を与えることは、以前から推測されていました。
鳥取大学の浦上克哉教授の研究では、アロマセラピーと認知症の改善効果が明らかにされました。
アロマセラピーで認知機能の改善がみられたのは、軽度から中程度の「アルツハイマー型認知症」の人です。
浦上先生の研究で認知機能の改善に効果があったアロマセラピーは、次の通りでした。
「ローズマリーカンファー2滴とレモン1滴を、昼間(午前中の早い時間)に2時間以上使う」
「ラベンダー2滴とオレンジ1滴を、寝る1時間くらい前から使い始めて2時間程度持続する」
認知症の人にアロマセラピーを行う方法
認知症の人にアロマセラピーを行う方法を少しご説明します。
アロマオイルを染み込ませるためのペンダントや、ディフューザ―という香りを拡散させる器械がありますので、それを認知症の人の部屋に置いて使います。
ちなみに、アロマオイルは植物から抽出された天然のものを使わないと、効果がありません。
安価なものには人工的に作られたものがありますから、選ぶ時には注意しましょう。
また、アロマオイルは薬と同じで、使う量が多すぎれば「副作用」があります。
人によっては、合わなかったり嫌いだったりする香りもありますから、始めて使う時には少量(あるいは短時間)から試してみるとよいでしょう。