認知症は塗り絵で予防できるの?
認知症の方に塗り絵をしてもらうことで、症状の予防や改善ができるという話を聞いたことはありませんか?
子供の頃に塗り絵で遊んだ方は、多いのではないかと思います。
高齢者の介護施設では、レクリエーションとして「塗り絵」を取り入れている所も多くあります。
そんな塗り絵が、認知症の予防や改善に役立つという情報がテレビで放送され、ちょっとした大人の塗り絵ブームが起こっています。
それを医学的に調査研究したのが、杏林大学医学部の古賀良彦教授です。
今回は、認知症の予防や改善の効果が期待される「塗り絵」についてお伝えします。
認知症の塗り絵は、リハビリにも効果的
認知症のリハビリとしては、風船バレーボールなどの室内ゲームが有効です。
目的の行動を取る、仲間と会話をする、身体を動かすなどを同時に行うので、脳への刺激が大きいためです。
しかし、手や足にマヒがある認知症の人などは、思うようにゲームが進められない場合があります。
そのような認知症の方には、「大人の塗り絵」がおすすめです。
塗り絵の場合、少人数でも、テーブル・イス・色鉛筆やクレヨンがあれば、いつでも楽しめます。
絵を描くのは難しいことですが、下絵が描かれている塗り絵なら誰にでもできます。
認知症の塗り絵効果について
認知症の方に塗り絵が効果的なのは、どうしてでしょうか?
古賀先生の研究では、塗り絵をしている時には「脳の酸素消費量」が増えていることが明らかになった、とあります。
- 下絵を見ることで脳の「後頭野」が刺激を受ける
- 下絵を今までに見た物や景色と照らし合わせる事で「側頭葉」が活性化する
- 絵の構図を頭に入れるためには「頭頂葉」が働く
- 絵についての全体的な情報は「前頭葉」で認識されて、「運動野」で手が動く
このように、塗り絵は脳全体を使って作業することになります。
大人の塗り絵は線が細かく、芸術性もあります。
線からはみ出さないように集中したり、色の濃淡をつけたりしてすると「脳の働き」も活発になりますね。
介護者の人も、認知症の人と一緒に楽しんでみてはいかがでしょう。
きれいな色で塗り絵をすると、癒しの効果もあるそうですよ。