認知症の社会心理療法について
認知症の改善をするための一つの方法として、「社会心理療法」と呼ばれるものがあります。
「心理療法」とは、薬や物理的方法(温める・マッサージする)をとらずに行う治療であり、基本は人との対話によるものであるとされています。
普通に話をするだけならば、ただの「日常会話」です。
それに対して、一方の人が他方の人に「支援的」かかわりを持つということが、心理療法の要と言えるでしょう。
今回は、認知症の症状の改善に役立つ「社会心理療法」について説明します。
認知症の社会心理療法とは非薬物療法?
社会心理療法とは、精神疾患や認知症の人の「社会生活を支援するための治療法」です。
この治療法は、精神疾患や認知症の本人だけでなく、家族に対しても行われます。
社会心理療法の目的は、認知症患者の認知機能や生活の質を向上させたり、感情をコントロールしたりすることです。
この社会心理療法には、大きく分けて4つのアプローチ方法があります。
それでは、そんな認知症の社会心理療法の4つのアプローチを順番にご説明していきましょう。
認知症の社会心理療法~4つのアプロ―チ
(1)行動に意識を向けたアプローチ:認知行動療法・環境の調整など
認知行動療法とは、自分に起こった出来事や、出来事に対する感情について、意味づけや解釈の仕方を変えて、くよくよしたり落ち込んだりする必要が無いことを学ぶものです。
(2)情動に意識を向けたアプローチ:回想法・バリデーション療法など
過去の出来事や経験を振り返り、記憶を呼び戻したり、こだわりのある行動を理解しようとしたりするものです。
(3)認知に意識を向けたアプローチ:リアリティオリエンテーションなど
現在の状況や身近にいる人、今日の予定などを繰り返し伝えて、認知症の人などの不安感を減らす治療法です。
(4)感覚刺激に意識を向けたアプローチ:レクリエーション療法・音楽療法・アニマルセラピーなど
言葉以外の刺激(聴覚・触覚・身体を動かすこと)により、心身に刺激をあたえて活動性を増したり、リラックスしてもらったりする治療法です。
社会心理療法を行うためには、認知症の人によい支援を行えるように、セラピストとしての訓練が必要になります。