認知症のバリデーション療法について
認知症のバリデーション療法という方法があります。
まず、認知症に対して云々という以前に「バリデーション」という言葉に、なじみが無い方も多いのではないでしょうか?
バリデーションとは、工業的な部品や機械、ソフトウエアなどが適切であるかを検証する方法です。
しかし、認知症のバリデーション療法は「認知症の適切さを検証すること」ではありません。
強いて言えば、認知症の人に適切に接する方法論でしょうか。
今回は、認知症に効果的なバリデーションについてお伝えします。
認知症のバリデーション療法とは?
認知症のバリデーション療法について詳しくご説明しましょう。
バリデーション(validation)とは、妥当であると検証することと訳されます。
アメリカで発祥した、認知症の介護方法のひとつです。
バリデーション療法は、認知症の人の感情に寄り添って共感しながら、コミュニケーションをとる介護方法です。
バリデーションの基本的態度
(1)傾聴
認知症の人の話に相づちを打つだけでなく、認知症の人に見えたり聞こえたりしている世界を教えてもらう
(2)ごまかさない
うわべだけで話を合わせたり、話題をそらしたりしない
(3)共感
認知症の人が悲しんでいたら一緒に悲しむなど、同じ態度をとる
(4)評価しない
認知症の人の言動には、本人なりの意味があるととらえる
接する人が「興奮しているだけ」「不穏な状態なだけ」などと評価しない
(5)誘導しない
認知症の人がしたくないことを尊重する
認知症バリデーションの効果と実践方法
バリデーションは、認知症の人の家族・医療従事者・介護スタッフなど、誰にでも実践できる介護方法です。
「公認日本バリデーション協会」では、バリデーションの普及やバリデーション技術のトレーニングを行っています。
認知症のバリデーションの実践方法
- 認知症の人に接する人自身が落ち着き集中する(センタリング)
- 認知症の人の正面から目を見つめる(アイコンタクト)
- 認知症の人のことばを繰り返す(リフレージング)
- 認知症の人が、怒っているなら低めの声で、悲しんでいるなら悲しそうな口調で、表情などを映す鏡になる(ミラーリング)
- 共感を持って接する(カリブレーション)
- 優しく触れる(タッチング)
触れ方(タッチング)の種類:話の内容にそった触れ方をする
- 友だち:認知症の人の両肩を包み込むように触れる方法
- 父親:認知症の人の後頭部を上から首筋に向かってなでる
- 母親:認知症の人のほほを包み込むようになでる
- 子供:子供が母親の首筋に抱きつくようになでる
バリデーションで認知症の人に接した結果、「認知症の人に寄り添いたいという気持ちが高まった」「介護者自身も変わった」「普遍的なことだと思った」などの感想が聞かれます。
バリデーションは、認知症の人と介護する人が、分かりあえる介護方法といえるかもしれませんね。