認知症がラベンダーで症状改善できるって本当?
認知症の現場において、ラベンダーが効果的であるという話がありますが、実際のところはどうなのでしょうか?
ラベンダーなどによるアロマテラピーは、香りによって気分をリフレッシュしてくれるものですね。
認知症に効果があるなんて信じられない、と思う方もいるでしょう。
医療計測機器の発達により、香りによる効果が測定できるようになりました。
そのおかげで、「なんとなく」や「気のせい」ではない香りの効果が実証されています。
今回は、認知症に効果があるラベンダーの香りについてお伝えします。
認知症にラベンダーが有効な理由は?
認知症にラベンダーが有効な理由は、どのようなところにあるのでしょうか?
ラベンダーを始めとするアロマテラピーは、精油(アロマオイル)を使って治療する技術です。
認知症の現場に限らず、気分を高揚させたい時、気分を落ち着かせたい時など、目的によって香りを選びます。
ラベンダーは気分を落ち着かせ、リラックスさせる効果があります。
関西医療大学大学院・保健医療学研究科の由留木裕子氏は、2012年にラベンダーの香りと神経機能に関する研究・発表をしています。
由留木氏の研究は、国内外の50の論文・文献を検証したものです。
ラベンダーの香りによる神経機能
①副交感神経を優位にする
副交感神経は、休息の神経です。
心拍・血圧を低下させて、胃腸の動きを良くします。
ラベンダーの香りを嗅いだ直後から、体温・血圧の低下、唾液アミラーゼ活性の低下が認められました。
唾液アミラーゼ活性とは、唾液に含まれるアミラーゼを計測するもので、ストレスの指標になります。
アミラーゼ活性が低下するとは、ストレスが軽減していることを示します。
②α波の出現
脳から発する微弱電流を測定するのが脳波です。
ラベンダーの香りを嗅いだ後は、リラックスしてα波が出ます。
③脳の血流量が増える
ポジトロン断層法(PET)や機能的磁気共鳴画像法(f MRI)などでは、ラベンダーの香りを嗅いだ後に、側頭葉・海馬・前頭前野の血流量が増えています。
これは、情動的に安定していると考えられます。
ラベンダーのどのような物質が作用を及ぼしているのかは、解明されていません。
しかし、明らかに神経機能に作用していることが分かります。
認知症をラベンダーで症状改善したい場合の使用手順
認知症の症状改善のためにラベンダーを使う時の手順についてご説明します。
ラベンダーは、副交感神経神経を優位にします。
このことから、認知症の人にラベンダーを使う場合は、夕方から夜にかけて行います。
【手順】
①真性ラベンダー2滴、オレンジスイート1滴をアロマディフューザーにセットする
②アロマディフューザーを使わない場合は、アロマオイルをコットンなどにしみこませてまくら元に置く
③寝る時間の1時間前くらいから就寝後2時間くらい、香りがするとよい
【注意】
・ラベンダーやオレンジスイートの香りが嫌いな場合は、無理に使わない
・臭いは慣れると効果が薄れるので、朝にしっかりと換気をしたり違う香りにする
認知症の不穏症状や入眠障害などに、ラベンダーの香りが効果的です。
アロマオイルは植物から抽出したオイルなので、濃度が濃すぎると有害な場合があります。
認知症の現場では、ラベンダーなどのアロマオイルの取り扱いには注意して、楽しみながら香りを使いましょう。