認知症のペットセラピー(アニマルセラピー)~重度の認知症の人も癒す?
認知症の患者さんに対して、ペットセラピー(アニマルセラピー)という方法が行われることがあります。
少子化に伴い、ペットの飼育件数は上昇傾向です。
ペットフード協会の調べによると、犬と猫の飼育頭数はどちらも約980万頭。
ペットを飼うきっかけは、犬・猫ともに「生活の癒し・安らぎが欲しいから」が1位。
2位は、前のペットの死亡となっています。
認知症の人にも動物による癒し、つまりペットセラピー(アニマルセラピー)は、さまざまな良い効果を与えてくれます。
今回は、認知症のペットセラピーについてお伝えします。
認知症のペットセラピー(アニマルセラピー)とは?
認知症の方や、それ以外の方にも有効なペットセラピーはアニマルセラピーとも言います。
ペットセラピー(アニマルセラピー)には、「動物介在療法」と「動物介在活動」があります。
「動物介在療法」は、医師、看護師、理学療法士とアニマルセラピストが協力して行う治療です。
動物介在療法では、治療の目標を立てて治療経過を記録・評価することが求められます。
「動物介在活動」では、治療の目標や記録は必要とされません。
たとえば、認知症の介護施設などに犬や猫を連れて訪問するペットセラピー(アニマルセラピー)は、動物介在活動ということになります。
認知症のペットセラピーの実践例
認知症のペットセラピー(アニマルセラピー)について、もう少し触れて見ましょう。
認知症になると、家族や他人から世話をされることが多くなります。
いろいろなことが自分で出来ないと感じて、ふさぎ込む認知症の人もいます。
これらのことから認知症になると自尊心を失ったり、無気力になったりする場合があります。
ペットの犬や猫は小さくて、食事などの世話もしなければなりません。
ペットセラピーでは、ペットの世話をすることで、認知症の人の自尊心や意欲が保たれたり、回復すると考えられます。
ある介護施設では、回想法とペットセラピーを組み合わせた活動が行われました。
犬に獅子舞の服や鬼のお面をかぶせて、「1月1日は何の日?」「2月3日は何の日?」などと質問。
正解者は優先的に犬にエサをあげることが出来るので、認知症の人が意欲的にゲームに参加したそうです。
認知症のペットセラピーでは、重度の認知症の人にも効果・影響があります。
普段は話しかけても反応しない認知症の人でも、犬が来たら頭を撫でて目じりが下がる表情を見せました。
普段は言葉を発しない認知症の人が、犬に向かって「おいで」と言ったり。
ただし、日本では、ペットセラピー(アニマルセラピー)のセラピストやセラピー犬などが少ない状態です。
ペットセラピー(アニマルセラピー)についての知識や情報が少ないため、医療機関や介護施設への活動も多くありません。
ペットセラピーでは、アレルギーや衛生面での配慮も必要だからかも知れません。
しかし、動物には人間に無い癒しの力が備わっています。
多くの人にペットセラピー(アニマルセラピー)を知ってもらい、認知症治療に限らずペットセラピーが普及するといいですね。