前頭側頭型認知症の早期発見について
前頭側頭型認知症は、軽犯罪などで突然発覚するというケースが多いです。
ご家族の方がとても驚かれることが多い認知症と言えるでしょう。
このような事態になる前に、早期発見することはできるのでしょうか?
今回は、前頭側頭型認知症は早期発見ができるかについてお伝えします。
前頭側頭型認知症の早期発見は可能か?
高血圧や糖尿病といった生活習慣病は、健康診断などで血圧測定や血液検査をすることで、早期に発見できますね。
このように体の状態を数値で表して、診断や治療の指標になるものをバイオマーカーと言います。
認知症についてもバイオマーカーが開発されれば、早期発見が可能になります。
アルツハイマー型認知症のバイオマーカーは開発されつつありますが、そのほかの認知症については遠い道のりのようです。
バイオマーカーではありませんが、認知症についてはMMSEや長谷川式認知症スケールなどの、認知症テストがあります。
これらの認知症テストは、アルツハイマー型認知症については比較的精度が高いと考えられます。
しかし、初期には記憶力の低下が見られない前頭側頭型認知症には、早期発見の助けにはならないでしょう。
前頭側頭型認知症は、レビー小体型認知症のような嗅覚障害が無いので嗅覚テストによる早期発見も難しいを考えます。
前頭側頭型認知症を早期発見するためのポイント
前頭側頭型認知症を早期発見するためには、今のところ家族や親しい人の「ちょっとした気付き」に頼るしか無いようです。
家族で「人柄が変わった」と感じたら、前頭側頭型認知症のチェックリストをやってみましょう。
<前頭側頭型認知症(ピック病)を疑うチェックリスト> (宮永和夫医師作成)
*蒲田内科クリニック(現在:東京メモリークリニック蒲田 院長)園田康博医師のHP参照
(1)状況に合わない行動:身勝手な行動、不適切な悪ふざけなど
(2)意欲減退:原因不明の引きこもり、何もしない
(3)無関心:服装や衛生状態に無関心で不潔になる
周囲の出来事に無関心になる
(4)逸脱行為:万引きなどの軽犯罪を繰り返す、反省しない
(5)時刻表的行動:散歩などを決まった時間に行う、止めると怒る
(6)食物へのこだわり:毎日同じもの(特に甘いもの)しか食べない
際限なく食べる場合もある
(7)常同行動・反響言語(滞続言語):同じ言葉を際限なく繰り返したり、他人の言葉をオウム返しにする、静止しても一時的にやめるのみ
(8)嗜好の変化:好きな食べ物が変わる、飲酒・喫煙が大量になる
(9)発語障害・意味障害:無口になる、ハサミ・メガネなどを見せても言葉の意味や使い方が分からなくなる
(10)記憶・見当識は保持:最近の出来事は覚えている、日時も間違えない、道に迷わない
以上の項目の3項目以上に該当したら要注意
現在のところ、客観的データで前頭側頭型認知症を早期発見することは、難しいようです。
今後の基礎研究の発展に期待しましょう。
家族に変わった様子があればチェックリストなどを使って、早期に専門医を受診しましょう。