前頭側頭型認知症の口唇傾向について
前頭側頭型認知症には「口唇傾向」という症状があります。
ただ「口唇傾向」という言葉を、聞きなれない方も多いのではないでしょうか?
かんたんに言うと、前頭側頭型認知症の口唇傾向の症状は、「過食」や「手にしたものを口に入れてしまう」ことです。
今回は、前頭側頭型認知症の口唇傾向についてお伝えします。
前頭側頭型認知症の口唇傾向の症状と原因
前頭側頭型認知症は、脳の「前頭葉」と「側頭葉」という部位の萎縮が起こります。
前頭側頭型認知症の「口唇傾向」という症状は、側頭葉の障害によって起こると考えられています。
「側頭葉」は、頭部のこめかみから耳の後方の部分に位置します。
側頭葉は、聴覚や言語の理解などの機能を持ちます。
ウイルス脳炎や頭部外傷などで側頭葉に障害が起こると、前頭側頭型認知症と同じように「口唇傾向」の症状が現れます。
「口唇傾向」は、手にしたものを口に入れるという症状です。
赤ちゃんや幼児が、何でも口に入れて確かめようとする行動と似ているかもしれません。
前頭側頭型認知症の口唇傾向の症状
- 過食
- 大量の飲酒
- 味の濃いものや甘いものを食べる
- 落ちているゴミなどを食べる
前頭側頭型認知症の口唇傾向の具体的対策と注意点
前頭側頭型認知症の口唇傾向では、常識的ではない食事や食べ物以外のものを食べてしまうという行動をします。
しかし、それを言葉で注意したり無理に行動を止めようとすると、興奮したり暴力をふるう場合があります。
前頭側頭型認知症の口唇傾向を止めさせるためには、「その人が口に入れやすいモノ」を目につかないようにすることです。
前頭側頭型認知症の口唇傾向の対策例
前頭側頭型認知症と診断される前から、食事の好みが変わるケースは多く見られます。
バナナと牛乳ばかり飲む、ご飯に醤油や塩をたくさんかける、甘いものばかり大量に食べるなどです。
これらの例は、入院などによりその食べ物が手に入らない(あるいは見えない)と、止まる場合があります。
前頭側頭型認知症の口唇傾向では、食べ物でないものをたべてしまう場合もあります。
手づかみで食事を食べる、毛布などをしゃぶるというのも、前頭側頭型認知症の口唇傾向によるものです。
ある施設では、廊下に落ちているゴミを拾って食べてしまう前頭側頭型認知症の人に対して、人形を抱かせる、さりげなく手をつないで歩くなどの介護の工夫をしました。
手がふさがっていてゴミを拾えないために、ゴミを食べる行為が改善したそうです。
(もちろん、廊下の掃除もマメに行ったそうです)
前頭側頭型認知症の口唇傾向は、甘いものばかり大量に食べたり、食べ物でないモノを食べてしまう症状です。
言葉で注意したり無理矢理やめさせようとすると、興奮や暴力につながる場合があります。
環境を変えたり介護を工夫して、前頭側頭型認知症の口唇傾向による事故や健康障害を防ぎましょう。