前頭側頭型認知症とアルツハイマー型認知症の違いについて
前頭側頭型認知症とアルツハイマー型認知症の違いはなに?という方がけっこういらっしゃるようです。
まず、物忘れといえば認知症、認知症といえばアルツハイマー型認知症と考える方は多いのではないでしょうか?
前頭側頭型認知症は「物忘れ」の起こりにくい認知症というのが、アルツハイマー型認知症との一番の違いと言えるかも知れません。
アルツハイマー型認知症では有効な接し方でも、前頭側頭型認知症には不適切ということもあります。
今回は、前頭側頭型認知症とアルツハイマー型認知症の違いについてお伝えします。
前頭側頭型認知症とアルツハイマー型認知症の症状や原因の違い
前頭側頭型認知症とアルツハイマー型認知症は、脳の障害される部分が違います。
前頭側頭型認知症は、「前頭葉」と「側頭葉」という部分の障害から始まります。
アルツハイマー型認知症は、それとは違い、側頭葉の内側の「海馬」という部分の障害から始まります。
前頭葉は、社会のルールや物事の善悪の判断、気分や感情のコントロールをする働きをします。
側頭葉の働きは、主に言葉の使用や理解をつかさどります。
海馬は、主に短期記憶をつかさどる働きをします。
前頭側頭型認知症の症状
- 反社会的行動
- 自分勝手な行動
- 常同行動や周回行動
- 意欲、自発性の低下
- 物事に執着する
- 突然興奮したり怒りだす
- 音、光、目の前にあるものなどに影響されやすい
- 病識、病感が無い
- 記憶障害は少ない
アルツハイマー型認知症の症状
- 短期記憶の障害が強い
- 空間認識力の低下
- 初期には病識や病感がある
- 見当識障害
- 幻覚や妄想
前頭側頭型認知症とアルツハイマー型認知症の接し方の違い
認知症の「徘徊」という行為を例に、前頭側頭型認知症とアルツハイマー型認知症の違いをみてみましょう。
アルツハイマー型認知症の徘徊
- どこかに出かけようとして、途中で行先や目的を忘れて迷う
- 病院などに居る理由を忘れて、家に帰ろうとする
- 見当識障害により自宅に帰れない
- 空間認識力の低下でトイレに迷う
前頭側頭型認知症の徘徊(周回)
- 自分で決めたスケジュールで出かける(常同行動や物事への執着)
- 記憶力低下は少ないため、迷わず家に帰って来る
- 徘徊(周回)に目的がある
- 徘徊(周回)の目的に反社会的行為が含まれる場合がある
健常者から見れば同じ「徘徊」でも、前頭側頭型認知症とアルツハイマー型認知症では理由が全く違います。
アルツハイマー型認知症では、介護者が支持的態度で声をかけたり促したりすると、それに従い安心します。
それとは違い、前頭側頭型認知症では、支持的態度で声をかけたり促したりしても関心を持ちません。
行動を制止しようとすると、興奮したり暴力をふるう場合もあります。
前頭側頭型認知症とアルツハイマー型認知症は、障害される部位の違いにより、症状や接し方が違います。
それぞれの病気を理解して接することが大切です。