前頭側頭型認知症の末期について
前頭側頭型認知症にも末期と呼ばれる状態があります。
前頭側頭型認知症は、反社会的行為やマナー違反から発覚することの多い認知症です。
64歳以下の若年性認知症の中では、アルツハイマー型認知症に次いで多い病気とされます。
ある医師は、「40歳以上で万引きをした人の20%程度に、ピック病(前頭側頭型認知症に含まれる病気)の可能性がある」ともいいます。
そんな前頭側頭型認知症になったら、末期にはどのようになるのでしょう。
今回は、前頭側頭型認知症の末期についてお伝えします。
前頭側頭型認知症が末期へ向かって進行すると?
前頭側頭型認知症が末期へ向かって進行すると、どのような状態になるのでしょうか?
前頭側頭型認知症の初期では、アルツハイマー型認知症のような物忘れはありません。
そのため、長谷川式認知症スケールやMMSEなどの認知症検査では、わかりにくい場合があります。
ところが、前頭側頭型認知症の病状が末期へ向かって進行してくると、アルツハイマー型認知症と同様に、記憶や見当識の障害が出てきます。
初期から中期にかけて、同じ時間に出かけて、同じコースを巡り、同じような行動(同じ店で万引きをするなど)をして帰ってくる常同行動が見られます。
これは、介護を困難にする大きな問題です。
この常同行動も、病状が進行し意欲が低下して末期になってくると、部屋の中を行ったり来たりするという単純なものになります。
前頭側頭型認知症の末期とは、どのような状態?
前頭側頭型認知症の末期では、意欲の減退から会話が少なくなります。
前頭側頭型認知症が末期になると、考え不精という状態から、何を聞いても「知らない」「わからない」と即答することもあります。
こちらが話しかけているのに、スッとその場を離れてしまうという行為も見られます。
側頭葉には、言語をつかさどる部分があります。
そこが障害されるので、前頭側頭型認知症の末期では、奇妙な話し方をするようになります。
「今日は天気がドンヒャラリ」「私はドンヒャラリがした」など、「ドンヒャラリ」のような意味のないフレーズが話に入り込んでしまいます。
「電車が来た、キタ、キタ、キタ、キタ」のように、語尾が反復する場合もあります。
判断力の低下から、部屋の中で放尿してしまうという末期症状もあります。
服を正しく着ることができない、箸やスプーンを使えなくなり、手づかみで食べるということも見られます。
やがて、体を動かす意欲が無くなりますので、末期では筋肉が衰えて寝たきりとなります。
食べる意欲もなくなるので、衰弱していくでしょう。
アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症も、前頭側頭型認知症と同じ脳の変性疾患です。
そのため、末期の症状は自分で身体を動かすことが出来ない、動かす意欲なくなることによる廃用症候群となります。
(廃用症候群とは、筋肉を動かさないことによる筋肉の減少やこわばりです。)
これも、老衰の一つのかたちなのでしょうか…。
出来れば認知症にかからずに、ピンピンコロリといきたいものですね。