前頭側頭型認知症の初期症状は意外なことから発覚する?
前頭側頭型認知症の初期には、どのような症状が現れるのでしょうか?
実は、前頭側頭型認知症は、初期の症状が驚くようなことから発症することがあります。
たとえば・・・
「万引きは犯罪です」
雑貨店や書店で、こんな張り紙やポスターを目にしますね。
中高生は遊び感覚で万引きをすることもあるようで、困ったものです。
では、学校の教頭先生が万引きをした、と聞いたらどうでしょう。
よほどのストレスがあったのかな、なんて考えるかもしれませんね。
実は、前頭側頭型認知症の初期症状は、万引きから発覚するということがあるのです。
今回は、ちょっと聞きなれない「前頭側頭型認知症」の初期症状についてお伝えします。
前頭側頭型認知症の初期症状とは?
前頭側頭型認知症は、初期症状は64歳以下で発症することが多い認知症です。
アルツハイマー型認知症では、脳の「海馬」という部分の萎縮から始まります。
前頭側頭型認知症は、脳の「前頭葉」と「側頭葉」という部分の萎縮から始まり、初期の症状が現れ始めます。
ピック病といわれることもありますが、ピック病も前頭側頭型認知症と同じ分類の病気です。
前頭側頭型認知症の初期症状
前頭側頭型認知症は、反社会的行為から初期症状が発覚することが多い認知症です。
前頭側頭型認知症の初期には、今まで実直に仕事をしてきた人が、突然、万引きや窃盗をします。
警察からの連絡で家族がかけつけても、本人はさほど深刻な様子がみられません。
家族は、びっくりするやら情けないやら…。
まさか認知症とは考えないので、前頭側頭型認知症の初期症状だったいう診断がつくまでに2年近くかかるケースもあります。
前頭側頭型認知症の初期に見られる症状
- 反社会的行為あるいは明らかなマナー違反
- これまでのその人の性格からは考えられない、自分勝手な行動
- 性格の変化
- 周囲に無関心
- 無表情
- 抑うつ的行動(引きこもりなど)
- 同じ時間に同じ行動をする(常同行動)
- 時間にこだわる
- 物忘れはない
前頭側頭型認知症の初期症状が起こる理由は?
前頭側頭型認知症の初期に「反社会的行動」が起こる理由は、脳の前頭葉という部分の障害によります。
大雑把に脳を、「前半分」と「後ろ半分」に分けて考えてみましょう。
脳の前半分は、運動をつかさどる部分になります。
身体を動かすだけでなく、アウトプットを担当すると考えてもらえるとよいかしれません。
脳の後ろ半分は、感覚をつかさどる部分になります
視覚、聴覚、触覚などの情報が入ってきて、処理する分野です。
インプットを担当していると考えてもよいでしょう。
脳の前頭葉は、論理的思考や物事の善悪などを判断する部分でもあります。
私たちは、お店に欲しい商品があっても、勝手に持ってくることはありませんね。
それは、社会のルール(法律)として決まっていることと判断するからです。
また、2人の人が話をしていたら、自分が話したいと思っても無遠慮に会話に入ることはしませんね。
それは、話をしている2人思いやったり、尊重する気持ちがあるからでしょう。
ところが、前頭側頭型認知症の人は、自分の言いたい事だけを言い放ち、気が済めば立ち去るというような行動を起こします。
アルツハイマー型認知症は、どちらかというと脳の後ろ半分の障害です。
入ってきた情報を、正しく処理・記憶されないという障害です。
前頭側頭型認知症は、脳の前半分で感情や情報を理論的に処理して、行動に移すということが障害されるのです。
そのため、前頭側頭型認知症の初期の症状は、自分勝手な行動、反社会的行為となります。
今まで実直に生きてきた人が、突然、反社会的行為をしたら、前頭側頭型認知症というものも思い浮かべてください。
その行動は、「病気がそうさせている」かもしれないのです。