前頭側頭型認知症の性差について
最近、ある男性芸人さんが「前頭側頭型認知症の疑い?」という報道がされていましたが…。
アルツハイマー型認知症などの認知症の場合、発症率に性差、つまり男女による差が見られる場合があります。
では、前頭側頭型認知症には、男女の発症率の差はあるのでしょうか?
今回は、前頭側頭型認知症の性差についてお伝えします。
前頭側頭型認知症の性差は見られない?
前頭側頭型認知症は、アルツハイマー型認知症・脳血管性認知症・レビー小体型認知症と違い、厚生労働省から難病指定(前頭側頭葉変性症)を受けています。
難病情報センターによると、罹患している人はおよそ3万人未満で性差は見られないとあります。
大学病院などの神経内科や脳外科のホームページでも、性差は見られないというところがほとんどでした。
前頭側頭型認知症は、脳の前頭葉と側頭葉という部位が萎縮する病気です。
前頭葉や側頭葉は、物事の善悪や社会のルールの判断、感情のコントロール、言葉の理解や判断をする機能があります。
前頭側頭型認知症は前頭葉と側頭葉の機能が低下して、社会性の欠如や自分勝手な行動をとるという症状が出ます。
万引きを繰り返すケースや社会的地位のある人が痴漢やわいせつ行為などをして、前頭側頭型認知症が発見される場合もあります。
前頭側頭型認知症の性差への対策
前頭側頭型認知症は性差は見られませんが、物忘れなどの記憶障害が出にくいために認知症として発見されにくいという特徴があります。
また症状が多彩なため、うつ病や精神疾患と誤診される場合もあります。
性差の無い前頭側頭型認知症の対策
- 些細なことで怒りっぽくなる
- まじめだった人が万引きなどの軽犯罪を繰り返す
- こらえ性が無くなる、待てなくなる
- 引きこもったり活動しなくなる
- 食事の好みが変わる、同じもの(甘いもの)を大量に食べる、くり返し食べる
- 場をわきまえずに子供のようにはしゃぐ
このような態度や行動が見られたら、前頭側頭型認知症を疑いましょう。
「認知症の介護は情報戦」と言った人がいますが、まさにその通りでしょう。
性差が無い前頭側頭型認知症とはどのような病気なのか、仕事や介護をどうするか、受けられる社会保障はあるかなど、知っておくべきことがたくさんあります。
認知症専門医や地域包括支援センター、ご近所や患者会などとつながりを持ち、相談しましょう。
前頭側頭型認知症は、性差が無く若年(64歳以下)でも発症する認知症です。
怒りっぽい、万引きを繰り返すなどの問題行動が目立ち、介護が難しいという特徴があります。
しかし、問題となる精神症状や行動障害を薬や介護方法で抑えることが出来れば、穏やかに暮らすことも出来るでしょう。