前頭側頭型認知症の常同行動について
前頭側等型認知症には、常同行動という症状があります。
常同行動とは、「同じことを繰り返す」という行動に対する特徴的な症状のことをあらわします。
では、この認知症では、いったいどのようなことを繰り返すのでしょう?
今回は、前頭側頭型認知症の常同行動についてお伝えします。
前頭側頭型認知症の常同行動とはどんな症状?
常同行動の症状は、前頭側頭型認知症では比較的早期から見られます。
アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症では、重度になってから見られる症状です。
前頭側頭型認知症の常同行動の例
- 毎日同じ牛丼店に行き、毎日同じものを食べる
- 施設の廊下の端から端まで歩き「ヒジョーグチ」と表示を読むことを繰り返す
- 壁をこぶしでドンドンとたたき続ける
- 月曜日は囲碁、火曜日はカラオケに行くなど同じパターンを繰り返す
- 車に乗って出かける場合もある
前頭側頭型認知症の常同行動で散歩などに出る場合、徘徊と違って道に迷うことはほとんどありません。
大体同じ時間に出かけて、同じ時間に帰ってきます。
前頭側頭型認知症の常同行動は、時に強制的です。
天候が悪くても出かけますし、暴力的になった場合、自分のこぶしから血が出ていてもたたくことを止めません。
前頭側頭型認知症の常同行動の対策
前頭側頭型認知症の常同行動は、本人や周囲の人に問題が無ければ見守りで大丈夫でしょう。
逆に、むやみに静止すると興奮したり暴力が出たりしますので注意したいところです。
前頭側頭型認知症の常同行動を止めたい場合は、本人の意識とは違う行動に誘導・転換する方法がよいでしょう。
介護者の方は、上手にそれを行う必要があります。
どのような行動に誘導・転換するかは、前頭側頭型認知症の人の生活史や個性に合わせる必要があります。
前頭側頭型認知症の常同行動の対策例
・洗濯物を見ると(乾いていなくても)取り込んでしまうというケース
【対策】⇒目に付く所に乾いた洗濯物を干しておく
・大工仕事か好き
【対策】⇒木工などで、やすりかけや塗料を塗る作業をしてもらう
前頭側頭型認知症の常同行動は、介護方法だけでは改善しない場合があります。
そのため、認知症専門医や精神科の医師に相談して、SSRIや非定型抗精神病薬を併用することも検討すると良いでしょう。
前頭側頭型認知症の常同行動は、止めるように言っても効果がありませんので、ご注意ください。
まわりにとっても問題のある常同行動に対しては、他の行動に誘導・転換させる方法が有効です。
また、SSRIや非定型向精神薬などの併用についても、医師と相談しましょう。