前頭側頭型認知症の立ち去り行動について
前頭側頭型認知症の症状に「立ち去り行動」というものがあります。
ところで、前頭側頭型認知症の方は、なぜ立ち去るのでしょう?
何処から立ち去るのでしょう?
今回は、前頭側頭型認知症による「立ち去り行動」という症状についてお伝えします。
前頭側頭型認知症の「立ち去り行動」という症状の具体例と原因
前頭側頭型認知症の「立ち去り行動」という症状は、「脱抑制」という状態によって起こります。
私たちは普段「本音」と「建て前」を使い分けて社会生活を送っていますよね。
例えば、「家族や友人の愚痴を聞く」という行為について考えてみましょう。
家族や友人の愚痴を聞くことは、本音では「つまらない」ことかも知れません。
しかし、家族や友人を応援したい、励ましてあげたい、良い関係を保っていたいなどの「相手を思いやる気持ち」や「駆け引き」などで多くの方は聞かれることでしょう。
このように、ふつうの感覚を持っている人の場合、本音と建て前をコントロールしているのが、主に脳の前頭葉です。
ところが、前頭側頭型認知症では、前頭葉の機能が低下するので本音をコントロール出来ない「脱抑制」(常識・建て前が無い状態)が起こります。
そのために、思ったことをストレートに行動として表してしまいます。
「立ち去り行動」は前頭側頭型認知症の脱抑制行動のバリエーションの1つです。
前頭側頭型認知症の立ち去り行動の具体例
- 公園の草花を勝手に持ち去る
- 店の商品を持ち去る(万引き)
- 会話中に不意に席を立つ
- 自分勝手すぎるほどの勝手な行動を取る
- 痴漢やわいせつ行為をする(性衝動の脱抑制)
前頭側頭型認知症の立ち去り行動という症状の対策と注意点
前頭側頭型認知症の人は、「病気のせいで極度に自分勝手になっている」と考えるとよいかもしれません。
前頭側頭型認知症の困った行動について「なぜそのような行動をするのか」を質問したり、「なぜその行動をしてはいけないか」を説明すると、その場から立ち去ってしまう可能性があります。
また、座っていられないなどの「立ち去り行動」なら、前頭側頭型認知症の人が以前から興味のあったことや、好きなことなどを取り入れて、作業してもらうのもよいでしょう。
興味がありそうなテーマの「ぬり絵」や、簡単な「家事作業」でもよいでしょう。
前頭側頭型認知症の人が飽きて立ち去り行動が出たら、タオルと洗面器を手渡しながらお風呂に誘うなど、目に見える方法で誘導してみましょう。
前頭側頭型認知症の立ち去り行動は、他人への興味や社会常識の判断力が低下して起こる症状です。
日課を決めて、前頭側頭型認知症の人が時間を上手く使えるように誘導しましょう。