脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症の併発について
高齢になると、複数の病気を併発する可能性があります。
脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症を併発していることも、まれではありません。
脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症が併発した場合、どのような問題があり、どのような点に注意したら良いのでしょうか?
今回は、脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症の併発についてお伝えします。
脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症の併発はあるのか?
では、そもそも脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症の併発はあるものなのでしょうか?
2003年の東京都健康長寿医療センターの村山先生の発表によると、アルツハイマー型認知症の76.9%に脳血管性認知症の併発がみられたとあります。
2007年に発表された海外の認知症患者の解剖所見でも、脳血管性認知症のみ=2~11%、脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症の併発=16~20%とされています。
個人差はありますが、高齢になるほど動脈硬化は進みます。
動脈硬化による「隠れ脳梗塞」を起こしている例は多く、それが脳血管性認知症になります。
アメリカで76~100歳の女性(修道尼)の脳と、MMSE(ミニメンタルステート検査=認知症検査)の関係を調査した研究があります。
それによると、アルツハイマー型認知症のみの場合は、MMSEは平均15点(30点で満点)でした。
しかし、アルツハイマー型認知症に脳梗塞を併発している場合のMMSEは、3点と低かったのです。
これらのことから、実際の診療場面では、脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症を併発している例が多いことが分かります。
また、脳血管性認知症とアルツハイマー型を併発している例では、認知機能の低下が著しいことも分かります。
脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症を併発した場合の対策
高齢になるほど、脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症を併発する可能性が高くなります。
アルツハイマー型認知症の原因や予防法は、まだまだ確立していません。
しかし、脳血管性認知症は予防できますし、進行を遅らせることが出来ます。
脳血管性認知症にアルツハイマー型認知症を併発すれば、認知機能は格段に低下して自立した生活が困難になります。
そう考えると、脳血管性認知症を予防することはとても大切ですね。
脳血管性認知症の発症は、生活習慣病の発症を予防することから始まります。
毎日の食事や運動などに注意して、全身の血管を守り脳血管性認知症の発症を予防しましょう。
脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症の併発例は、多く見られます。
残念ながら、脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症の併発により、認知機能は格段に低下します。
認知症の悪化を防ぐためにも、脳血管性認知症の予防は大切です。