脳血管性認知症と言語障害について
脳血管性認知症には、「言語障害」という症状があります。
言語障害というと、単に「話せない」ということを想像する方が多いと思いますが、実際はそうではありません。
脳血管性認知症の言語障害には、さまざまなパターンがあります。
今回は、脳血管性認知症による言語障害という症状についてお伝えします。
脳血管性認知症の言語障害の原因と症状
脳血管性認知症の言語障害の原因は、大きく2つに分かれます。
(1)構音障害:
口、舌、咽などが上手く動かないことによる言語障害
筆談や50音表などによるコミュニケーションが出来る
(ハードウェアの故障による言語障害)
(2)失語症:
脳の言語中枢が障害されたことによる言語障害
筆談や50音表は有効ではない(ソフトウェアの故障による言語障害)
ここでは、失語症による言語障害について説明します。
脳血管性認知症の言語障害の失語症は、左脳の言語野という部位の障害によるものです。
右半身にマヒがある場合、失語症を合併することがあります。
脳血管性認知症の言語障害の失語症の種類
(1)ブローカー失語
運動性失語ともいわれます。
言葉を理解することに、あまり問題が無い言語障害。
脳血管性認知症の人が、つっかえながら話すイメージです。
(2)ウエルニッケ失語
感覚性失語ともいわれます。
言葉を理解しにくく、言い間違いも多い言語障害。
脳血管性認知症の人が、関係無い単語をつなげて話したら、このタイプです。
(3)健忘性失語
言葉を理解出来るのに、名詞(物の名前など)が出てこない言語障害。
このタイプの脳血管性認知症の人は、「箸」を「食べる時に使うやつ」「挟むもの」などと話します。
(4)全失語
言葉を理解できない重症の脳血管性認知症の言語障害。
話せないばかりでなく、読むことも書くことも出来なくなります。
脳血管性認知症の言語障害の対応法と注意点
脳血管性認知症で言語障害がある場合、コミュニケーションが取りにくく、引きこもりがちになります。
介護者や周囲の人が言語障害について理解しないと、脳血管性認知症の人の日常生活が困難になります。
脳血管性認知症の言語障害の対応法と注意点
脳血管性認知症で言語障害がある場合は、医師や言語聴覚士に言語障害のタイプをたずねましょう。
言語聴覚士は、「言葉」と「飲み込み」のリハビリテーションの専門家です。
言語聴覚士がいる病院は少ないので、医師や医療相談室などでリハビリ専門病院を紹介してもらうとよいでしょう。
脳血管性認知症では、50音表が役立つ言語障害とイラストや写真のほうが役立つ言語障害があります。
どのようなツールが有効か、言語聴覚士に相談しましょう。
言語障害のある脳血管性認知症の人が、日常生活でよく使う言葉や場面を「漢字」や「絵・写真」で表記したボードやカードを作ってもよいでしょう。
脳血管性認知症で言語障害がある人は、他人との交流が減少します。
部屋や自宅に引きこもりがちになり、認知症が進んでしまう可能性もあります。
言葉以外で楽しめる場所を見つけて、他人と交流するようにしましょう。
脳血管性認知症の言語障害は、言語聴覚士によるリハビリテーションで改善する可能性があります。
身近に言語聴覚士がいない場合は、医師や医療相談室などに相談しましょう。