脳血管性認知症の徘徊について
脳血管性認知症の患者さんによくみられる「徘徊」という症状があります。
注意が必要なのは、徘徊といっても一般的にイメージされるように、ただやみくもに歩き回っているワケではありません。
実は、あまり知られていませんが、脳血管性認知症の人の徘徊には、理由があります。
今回は、脳血管性認知症の徘徊についてお伝えします。
脳血管性認知症の徘徊の原因(理由)
脳血管性認知症に限らず、認知症の人の徘徊には、いろいろな理由が考えられます。
アルツハイマー型認知症の場合、「ここが何処だか分からない」ので不安になり徘徊すると考えられます。
アルツハイマー型認知症では、病院などに来たことを忘れる、体調不良だったことを忘れるなどのためです。
脳血管性認知症の徘徊の場合、「ここに居る意味がない」「他に行きたい所がある」などの理由が考えられます。
病気の治療が終わっていなくても、体調が良くなれば入院している理由がないと考えます。
入院中であることは理解しているが、財布などの必要なものを取りに自宅に帰ろうと徘徊するケースもあります。
これらのケースは、脳血管性認知症で、治療の必要性という判断力が低下しているためでしょう。
ある脳血管性認知症の人は、「歩かないと足腰が弱くなるから」と脅迫観念にかられて、夜中に徘徊していました。
脳卒中を発症した当初に、理学療法士から指導されたのでしょう。
リハビリとして歩くことは大切ですが、時間の判断力が低下しているので、夜中に徘徊するといった行動になったのでしょう。
脳血管性認知症の徘徊の対応と対策
脳血管性認知症の場合、徘徊に理由があることが多いものです。
それを知ろうとしないで、やみくもに止めさせようとすると、暴言や暴力につながる場合があります。
脳血管性認知症の徘徊の対応と対策
脳血管性認知症の人は、こだわりが強い傾向にあります。
いつも身近に置いている物が無いなどで、徘徊するというケースがあります。
時間や周囲の人の都合は考えずに、自分の日課をしようとして徘徊する場合もあります。
脳血管性認知症の人の徘徊には、家族や介護者が思いもよらない理由で徘徊しているケースもあります。
いきなり叱るなどしないで、話をよく聞いてみましょう。
脳血管性認知症の人には、時計を見せながら一定のパターンで生活すると、昼夜の判断がつきやすく徘徊しなくなる可能性があります。
昼間に散歩をするなど、戸外で太陽光を浴びると昼夜のリズムが整いやすくなります。
脳血管性認知症の徘徊には、理由がある場合が多く見られます。
やみくもに徘徊を叱ると、暴言や暴力につながる可能性があります。
脳血管性認知症の人が徘徊している場合は、理由をたずねてみましょう。