脳血管性認知症の症状の特徴について
脳血管性認知症(のうけっかんせいにんちしょう)の症状には、いくつかの特徴があるということが分かっています。
まず、「脳卒中」という言葉は、多くの方がご存じと思います。
では、脳卒中は、具体的には、脳がどうなっているのでしょう?
答えは、「脳の中で急に何かが起こった」です。
脳の中で急に起こることは、脳血管の障害です。
脳出血、脳梗塞、脳塞栓、脳血栓など、全て含めて「脳卒中」といいます。
脳卒中は、「脳血管性認知症」の原因であり、その症状にも特徴が現れます。
今回は、そんな脳血管性認知症の症状の特徴についてお伝えします。
脳血管性認知症の症状の特徴は、他の認知症とはちがう?
脳血管性認知症の症状の特徴の前に、少し脳血管性認知症という病気についてご説明しましょう。
脳血管性認知症とは、脳の血管が、詰まったり破れたりして、脳細胞に酸素や栄養が行かなくなるために起こる認知症です。
アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症の症状が現れる場合、脳の神経細胞の1つ1つに特殊たんぱく質が沈着して、働きが悪くなります。
一方、脳血管性認知症が症状として現れる時は、脳の神経細胞が酸素不足・飢餓状態になるので、働きが悪くなり、やがて死滅していきます。
アルツハイマーやレビーが、脳細胞の化学的障害としたら、脳血管性認知症は「物理的な障害」ということが特徴といえるでしょう。
そのため、脳血管性認知症の症状には、他の認知症とは違ういくつかの特徴が現れるのです。
脳血管性認知症の症状の特徴を詳しく
脳血管性認知症の症状の特徴をいくつかご紹介しましょう。
アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症は、始まりがはっきりしません。
それに比べると、脳血管性認知症の症状は、始まりがはっきりしている場合が多いのが特徴です。
脳血管性認知症の人は、自分の症状に病識があるというのも特徴の一つです。
脳梗塞や脳出血の直後は、意識状態がはっきりしない時期があります。
治療やリハビリテーションにより、状態が安定してくると意識状態は格段とよくなります。
脳血管性認知症では、体のマヒが残ることなどから、「自分は病気である」という病識があることも特徴なのです。
アルツハイマー型認知症では、ほとんどの場合「病識」がありません。
脳血管性認知症は、昨日できたことが今日はできない、午前中出来なかったことが午後はできるなど、日によって症状に差があるのも特徴と言えます。
いわゆるまだら認知症です。
脳血管性認知症は、認知症ではありますが、理解(判断)できることと出来ないことが混在することも、症状の特徴です。
脳血管性認知症は、些細なことで、泣いたり怒ったりしやすくなるのが特徴的な症状です。
「感情失禁」と呼ばれます。
「今日はいい天気ですね」「明日、お孫さんが来るのですね」
こんな言葉をかけただけで、泣き出してしまう場合があります。
「お風呂に入りましょう」と声をかけたら、突然怒りだすことも。
自分で決めたこと、自分の思っていることから外れると、怒りだしてしまうのかもしれません。
脳血管性認知症の症状は、なだらかな曲線でなく、階段状にガクンガクンと悪くなります。
脳の血管が詰まるたびに、出血がおこるたびに悪くなるからです。
脳血管性認知症を起こさないためには、糖尿病やメタボリックシンドロームにならないようにすることが大切です。