脳血管性認知症の昼夜逆転について
脳血管性認知症には、昼夜逆転という症状がありますが、その原因はなんでしょうか?
実は、昼夜逆転になる原因は、複数あります。
たとえば、脳血管性認知症で昼夜逆転になる原因の1つは、活動量の減少です。
その他にもいろいろな原因があり、対処法も変わってきます。
今回は、脳血管性認知症の昼夜逆転についてお伝えします。
脳血管性認知症の昼夜逆転の原因は?
脳血管性認知症による昼夜逆転の原因についてご説明します。
昼夜逆転の原因~メラトニンの分泌の減少~
昼夜逆転の原因の1つに、メラトニンの分泌量の減少があります。
メラトニンは、「睡眠ホルモン」とも呼ばれます。
メラトニンの分泌量は、10歳頃がピークとなります。
20歳で約80pg/ml、30歳で約40pg/ml、40歳で約20pg/mlで、50歳で約10pg/ml、60歳では約5pg/mlと、メラトニンの分泌量が減り続けます。
高齢になるほど、昼夜逆転になりやすいといえます。
昼夜逆転の原因~体温変化のリズムの乱れ~
昼夜逆転の原因には、昼と夜の体温変化も関係しています。
脳血管性認知症になると、手足のマヒなどにより日中の活動量が減ります。
日中の活動量が減ると、日中の深部体温が上がりにくくなります。
睡眠中は深部体温が下がることで、よい睡眠を持続することが出来ます。
しかし、日中の深部体温が充分に上がらないため、昼夜の深部体温の差が少なくなります。
それが、睡眠を持続できずに昼夜逆転になりやすくなります。
脳血管性認知症の昼夜逆転への対策は?
続いて、脳血管性認知症の昼夜逆転への対策についてお伝えします。
メラトニンの分泌は、朝に光を浴びるとストップします。
その後、14~16時間経つと再びメラトニンの分泌が増えます。
脳血管性認知症の人が寝る部屋は、睡眠中は出来るだけ真っ暗、朝には太陽光や電灯で明るくすると昼夜逆転に効果があるでしょう。
脳血管性認知症でマヒがあると、日中もベッドで過ごしてしまう場合があります。
ベッドがあればつい横になる、横になればウトウトと眠ってしまい、日中の活動量が減ります。
脳血管性認知症があっても、日中の休憩はイスに座るだけとすると、昼夜逆転を防げるでしょう。
脳血管性認知症の人は、デイケアやデイサービスを利用して、日中の活動量を増やすことも、昼夜逆転の予防になります。
脳血管性認知症の人が眠れないからといって、安易に睡眠薬を使うと、昼夜逆転を助長する可能性があります。
ラメルテオンなど、メラトニンの作用に注目した薬剤のほうがよいでしょう。
ラメルテオンには副作用もあります。
医師に相談して、処方してもらいましょう。
カフェインは、神経を興奮させて入眠しにくくなります。
アルコールを飲むと入眠しやすくなりますが、中途覚醒しやすく、深い眠りを妨げることも分かっています。
脳血管性認知症では、血液をサラサラに保つことも大切です。
しかし、寝る前の水分摂取量が多いと、夜間の頻尿につながり昼夜逆転になる可能性があります。
脳血管性認知症では、加齢によるメラトニン分泌量の減少と活動量の減少から、昼夜逆転になる可能性があります。
脳血管性認知症の昼夜逆転では、安易な睡眠薬の使用はおすすめしません。
昼夜逆転で入眠導入剤を使用する際には、医師に相談しましょう。