脳血管性認知症と知能低下について
脳血管性認知症では、「知能低下」という症状があります。
「知能」をどのように定義するかにもよりますが、脳血管性認知症によって知能低下が起こることは否めません。
ただし、脳血管性認知症が、すべての知能を低下させるというワケではありません。
今回は、脳血管性認知症と知能低下について、詳しくお伝えします。
脳血管性認知症の知能低下の症状
脳血管性認知症の知能低下とは、どんな症状のことを言うのでしょうか?
まず「知能」には、適応力や思考力(洞察力)あるいは学習能力など様々な面があります。
心理学者のレイモンド・キャレルは、知能を「流動的知能」と「結晶的知能」に分けて考えています。
- 流動的知能=新しい環境や場面での適応力
- 結晶的知能=体験や経験の積み重ねで構成されるもの、言語や計算などの学習による力
脳血管性認知症では、脳の障害を受けた部位と障害を受けない部位に明らかな差があります。
そのため、手足のマヒの他に言語能力に障害が出たりします。
言語を使う能力の低下は、「知能低下」といえるでしょう。
例えば、脳血管性認知症の人が入院すると、治療や処置に拒否・抵抗をする場合があります。
これは、入院という新しい環境や場面での適応知能の低下といえるでしょう。
一方、脳血管性認知症になっても、体験や経験で得た知識や判断力は低下しない場合があります。
また、リハビリテーションなどで体の動かし方などを学習し、それを日常生活に生かすことも出来ます。
脳血管性認知症の知能低下の対応と注意点
脳血管性認知症の知能低下の対応策と、その注意点についてお伝えします。
脳血管性認知症では、手足にマヒが残る場合があります。
そのことだけにとらわれて、「もう何も出来ない」などと感じてしまいがちです。
リハビリテーションなどを行い、健常な手足の機能を充分に生かす訓練をしましょう。
外出や旅行といった楽しい場面でも、知能低下によって戸惑いや混乱が生じる場合があります。
事前に説明をしておく、その場で1つ1つアドバイスをするなどで、脳血管性認知症の人も不安なく過ごせます。
脳血管性認知症で言語知能の低下が起これば、言いたいことがあっても言葉が出てこないかもしれません。
遂行機能の知能低下が起これば、服の袖に腕を通すことが出来ない場合もあります。
脳血管性認知症の知能低下の状態については、医師や理学療法士に相談しましょう。
「どのような事」が「どのように出来ないか」を理解していると、脳血管性認知症の人も介護する人もストレスが減ります。
リハビリテーションや日常生活での訓練により、知能低下した部分が改善する場合もあります。
脳血管性認知症の人は、諦めずに少しづつ訓練を続けましょう。
脳血管性認知症では、知能低下が起こる部分とそうでない部分があります。
リハビリテーションなどの訓練で、知能低下を改善出来る可能性があります。