認知症の空間認識という障害について
認知症の空間認識という障害についてご説明します。
「空間認識」とは、三次元の状態を認識すること、物事の全体を見渡せること、とあります。
ちなみに、球技のスポーツが得意な人は、「空間認識力」が優れているそうです。
認知症の場合は、空間認識の能力が低下するので、自宅でもトイレの場所が分からなくなるという事が起きます。
「アルツハイマー型認知症」では、初期から見られる症状ですが、「レビー小体型認知症」でも空間認識の障害が見られます。
今回は、認知症によって起こる「空間認識障害」について説明します。
認知症の空間認識障害によって起こること
認知症の空間認識障害は、さまざまな困ったことを引き起こします。
たとえば、認知症の人が徘徊してしまうのは、見慣れているはずの道や建物を忘れてしまうためばかりではありません。
健常者は、始めての場所でも地図上に自分のいる位置を投影させて、行動することができます。
ところが、空間認識が障害されていると、「平面の地図から立体的に自分のいる位置を把握するということが難しくなる」と考えられます。
認知症の空間認識を見るテストに「クロッキーテスト」があります。
クロッキーテストは、以下の手順でアナログ時計を絵に描いてもらうものです。
- 白い紙に円を描く
- 時計の文字(数字)を書く
- 10時10分(または11時10分)の針を描く
認知症の空間認識を見るクロッキーテストのチェックポイント
認知症の空間認識を見るクロッキーテストには、チェックポイントがあります。
それは、「円が描けるか」「文字の配列は正しいか」「長針と短針が正しく描けるか」という部分です。
認知症で空間認識障害があると、次のような絵になります。
- 円にならない
- 数字の配列が等間隔ではない
- 数字が12よりも多かったり少なかったりする
- 長針と短針の区別がつかない
- 中心から全ての数字に線がのびている、など
クロッキーテストは、認知症の疑いのある人の自尊心を傷つけずに行える簡単な空間認識検査です。
一般の人にも簡単にできる検査なので、家族などが認知症かなと思ったらやってみましょう。
認知症の早期発見につながるかもしれません。