高齢者のお風呂!入らない時の対処法や入る時の注意点
高齢者のお風呂って大変!
そう思ったことはありませんか?
中々入ってくれないこともありますし、入ってくれても本人の身体の自由が利きづらい状況だと色々と注意が必要なこともありますよね。
そこで今回は、高齢者がお風呂に入らない時の対処法や、入ってくれた時の注意をお話します。
高齢者がお風呂に入らない!原因や対処法はあるの?
そもそも、なぜ高齢者には、お風呂に入りたがらない方がいるのでしょうか?
今回は、分かりやすく3つの項目に分けて説明します。
まず、お風呂に入りたがらない第一の理由は、身体の不調であることが考えられます。
これは、風邪などの病気だけではありません。
筋力が低下したことによって身体が動かしづらく、お風呂に入ることが不安に感じているという可能性が考えられます。
その場合、まずは「なぜお風呂に入りたくないのか?」という背景を探る必要があります。
今お話したように、身体の不調で不安に思っているようであれば・・・
「手伝うから大丈夫だよ」
・・・としっかりお声かけをすることで、不安を解消することが出来るかもしれません。
それ以外にも、浴槽に手すりをつけたり、滑らないようにすのこを引いたりと、環境を整えれば高齢者も安心出来るでしょう。
次に挙げられるお風呂に入りたがらない理由は、認知症が関係しているかもしれないということです。
認知症が進行すると、入浴という行為を忘れてしまうことがあります。
ご本人としては「お風呂って何?」という意識になっているわけですね。
そこでいきなりお風呂に行くよ、と言われても本人としては訳が分かりませんし、不安ですよね。
さらに、ここで強引にお風呂に連れて行ってしまうと、ますます意固地になって入ってくれなくなります。
じゃあどうすれば良いのか?
こういった場合には、まずお風呂は気持ちいいものなんだ、という意識を持ってもらうことが大事です。
例えば、濡れタオルで顔を拭くと気持ちいいですよね、あの感覚です。
実際にやってもらうと、お風呂のことを思い出してくれるかもしれませんし、「お風呂に入ると気分が良い」と感じてくれるかもしれません。
このように認知症が原因としてあるようであれば、ご本人の意識を良い方向に誘導することが必要です。
当然ですが、入浴の時には裸になります。
自分のこととしてイメージをして欲しいのですが、家族が一緒でも気恥ずかしいですよね。
高齢者でもそれは同様で、裸を見られることに抵抗があるからお風呂に入りたがらないということが考えられます。
前述した内容と重複しますがこのような場合、まずは「浴室の環境」を整えることが大事になってくるでしょう。
恥ずかしいという理由なら、一人で入浴出来るようにすれば解決ですよね。
ただ、全ての高齢者がそうではありません。
環境を整えても、そもそも立ち上がるという行為が難しい方だっているわけですから、他の工夫が必要になることもあるでしょう。
このような場合、まずは足湯といったものから少しずつ始めると良いでしょう。
次に手、上半身、と段階を踏んでいくと高齢者も慣れてくれるかもしれません。
または、少し手間が掛かりますが、水着に着替えてもらうというのも良いですね。
水着なんてと思われるかもしれませんが、お風呂に入らずに不潔でいるよりはずっと良いと思いませんか。
いろいろな手を使って、何とか入ってもらうことが大切です。
さて、3つの項目に分けて説明しましたが、ほとんどの場合、高齢者が入浴を拒否するには理由がちゃんとあります。
- 「面倒だから」
- 「昨日入ったばかりだし」
- 「もうすぐ入る、入る」
と拒否したり言い訳したりする場合は、その言葉の背景を良く考えて、上手く誘導する必要があるんです。
高齢者のお風呂は危険?入浴する際に注意すべきポイントは?
お風呂になんとか上手く入ってくれるようになっても気は抜けません。
高齢者にとって危険なポイントが盛りだくさんです。
一体どんな危険があるのか、どこに注意が必要なのか3つの項目で説明します。
水を使うわけですから、お風呂の床は滑ります。
特に高齢者はふらついたり、踏ん張りが利かないことが多いですからより転倒のリスクが高まります。
手すりの設置や使いやすい介護用の椅子を導入するなどして転倒のリスクを可能な限り低くしましょう。
もちろん、それだけで安心出来ません。
介助者は高齢者が滑って転ばないように目を光らせておかなければいけません。
高齢者の入浴事故の要因として、意識障害が挙げられます。
お風呂に入っている途中に意識を失ったりして溺れてしまう、ことです。
何故このようなことが起きるのかというと、入浴の時には血圧がかなり変動します。
この血圧の変動をトリガーにしてめまいといった意識障害が起こりやすくなるわけです。
このような事態を防ぐためにも、長風呂は避けた方が良いでしょう。
また、冬の寒い時期は暖房を利かせて温度を一定に保つなどの対応が必要です。
お風呂に入った後は水分の補給もしっかりしてくださいね。
入浴は身体を清潔に保つだけではなく、筋肉を解したり心を安定させたりと良い事づくめです。
ただ、高齢者の状況によっては入浴が逆効果になることもありえます。
高齢者の場合、自分の体調の変化に気付きにくくなります。
微熱があると知らないで入浴して、体調が悪化するという事があるかもしれません。
入浴の前には、血圧測定や体温を測るようにし、入浴中に体調不良があった場合は速やかに入浴を切り上げましょう。
さて、高齢者の入浴には沢山の危険が潜んでいることが理解いただけたでしょうか。
しっかりと目を配りながら、くれぐれも事故がないように常に注意してくださいね。
高齢者のお風呂で介助入浴する場合のポイントは?
入浴する際にどのような危険があるのかどこに注意が必要かをお話ししましたが、介護入浴をする際にも注意が必要です。
この場合の注意とは高齢者ではなく、介護者(手伝う側)のことです。
適切にお手伝いしなければ満足な入浴が出来ないかもしれませんし、事故に繋がることもありえます。
一体どこに気を付けなければいけないのか、これも3つの項目に分けてお話しします。
入浴方法は人によって変わってきますが、一旦湯船に浸かって温まってから身体や頭を洗う方もいると思います。
ただ、高齢者の入浴の場合は湯船に浸かる前に身体を洗った方が良いでしょう。
高齢者にとって湯船から立ち上がるのも大変なので、身体の負担を減らすために立ち上がったり移動の回数は可能な限り減らしましょう。
いきなり身体の中心からお湯を当てるのは心臓に負担をかけるので控えた方が良いです。
まずは身体の末端部分、足先や指先からお湯を当てて慣れてもらい、徐々に身体の中心に向かうようにお湯を当てる方がご本人の負担も減ります。
また、お湯を当てる際にはお声掛けは必須です。
いきなりお湯を当てて驚いて転んでしまうかもしれませんからね。
それ以外の行動をする時にもお声掛けはしっかり行ってください。
困っているとついつい手を貸したくなりますが、まずは高齢者に何が出来て何が出来ないのかを見極めてください。
なんでもやってあげてしまうと、高齢者側もそれに甘えてしまって良い結果にはなりませんよ。
身体の前は洗えるけど後ろは洗えない、という場合は後ろだけ手伝うようにした方が良いでしょう。
ある意味では入浴もリハビリの一種です。
ご自分で出来ることはやってもらう、入浴に限らず介護全般の原則です。
ただ、高齢者の状況は日々変化するものです。
昨日まで出来ていたことが今日は出来なくなっていた、ということもありますからそういった場合はきちんと手を貸してあげましょう。
高齢者の皮膚は我々が想像している以上に弱いものです。
普段の力で身体を洗ってしまうと赤くなってしまったり、傷ついたりします。
これは介護者側もそうですが、高齢者本人が力を込めて洗っていることもありますから、そういった場面を目撃したら注意するようにしてください。
洗う時に使うスポンジは柔らかめのものを選んだ方が良いでしょう。
また、洗い残しがないように注意。
高齢者が自分で洗っても細かい部分に抜けが多いです。
特に汗をかいたりする箇所や股間部分はしっかり洗うようにしてください。
高齢者が湯船から立ち上がれない!原因と対処方法は?
入浴の際、高齢者が立ち上がれなくなる。
そういった事態に遭遇しても慌ててはいけませんよ。
介護者の態度が高齢者に伝わって、高齢者自身が不安になったりパニックになったりするかもしれません。
湯船から立ち上がれなくなる原因と理由をしっかり押さえて落ち着いて行動しましょう。
湯船から立ち上がれなくなる理由はいくつか考えられます。
まずは体勢です。
湯船に浸かる際に足を伸ばしていたりすると下肢に力が入りづらくなり、立ち上がることが出来なくなるということがあります。
膝を曲げてもらうことで力が入りやすくなり、立ち上がりやすくなります。
事前に防ぐために浴槽台(湯船の中に設置する椅子)などの導入を検討しても良いでしょう。
続いて入浴中に脱力した、という場合です。
入浴にはリラックス効果がありますが、そのせいで力が入りづらくなることがあるかもしれません。
また、入浴中に血圧が変動したことによってめまい等が起こる可能性もあります。
心筋梗塞などを引き起こすことにもなりかねませんので、速やかに入浴を中止してください。
入浴中であれば浮力を利用し、手すりに掴まって立ち上がってもらうようにしましょう。
立ち上がるのが難しければ一旦お風呂のお湯を排水する、といった緊急回避行動を取っても良いかもしれません。
入浴の際、溺死の事件は多く起こっています。
事前に対策を行い、もしも立ち上がれなくなった時には迅速な対応をしてください。
そのために普段から入浴の際には注意を払い、想像力を働かせてくださいね。
それでは、高齢者がお風呂に入らない時の原因と対処について、最後にまとめましょう。
まとめ
今回は、高齢者のお風呂について、注意点や対処方法についてお話しました。
高齢者が入浴を拒否するには理由があり、その背景を読み取りましょう。
認知症の場合には上手く誘導をする必要があります。
入浴中に転倒や意識障害、具合が悪くなるかもしれませんからしっかり目を光らせることが大事です。
介助入浴の際には末端部分から洗うように。
出来るところはご本人にやってもらいますが、洗い残しには注意。
湯船から立ち上がれない時は体勢や脱力によるものかもしれませんが、慌てないようにしてください。
浴槽台の導入といった事前対策を行い、時間が掛かるようであれば排水しても良いでしょう。
このように注意すべきポイントは沢山ありますが、入浴は高齢者にとってリフレッシュの良い機会ですから、気をつけつつ入浴を楽しんでもらってください。