認知症と偏食の関係について
認知症の中でも、アルツハイマー型認知症になりやすい「遺伝子型」があることが分かってきました。
ところが、その遺伝子を持つ人の全てが「アルツハイマー型認知症」を発症するワケではなく、生活環境の要因が大きいと考えられるようになりました。
それは、一卵性の双子でも、2人ともアルツハイマー型認知症を発症する確率が「4割程度」だったからです。
また、日本人は欧米人に比べて「アルツハイマー型認知症」の遺伝子要因を持つ人が少ないです。
ところが、ハワイに移住した日本人などは、発症率が高くなっていることが分かっています。
今回は、「認知症予防と偏食」の関係についてご説明します。
偏食は認知症になりやすい?
認知症の人と、その家族の食習慣を調べると、認知症の人は「肉が好きで、魚と野菜は嫌い」という傾向がありました。
認知症の人の家族は、肉・魚・野菜といろいろなものを食べていました。
そのため、食卓には並ぶのに「認知症の人だけ偏食をして食べていない」という状況が、ハッキリ分かるのです。
この他にも、認知症の人は、甘いものや炭酸飲料などを摂ることが多く、食事がおろそかになる傾向もうかがえました。
認知症は偏食を直せば予防できる?
アルツハイマー型認知症の人の食習慣では、圧倒的に「魚と緑黄色野菜」を食べる量が少ないことが問題です。
アルツハイマー型認知症の遺伝子要因は、脂肪を運ぶ「たんぱく質」です。
これは、魚介類に含まれる「ドコサヘキサエン酸(DHA)」と「エイコサペンタエン酸(EPA)」の摂取不足が影響することが分かっています。
認知症を発症した57歳の男性のケースでは、3ヶ月間肉を多く食べる生活をしただけで、物忘れや道に迷うなどの認知症症状が出てきました。
この人にEPAを与えた所、仕事に復帰できたという結果が報告されています。
アルツハイマー型認知症は、アメリカやヨーロッパの国でも問題になっている病気です。
それを予防する食習慣が、魚や野菜・海藻・きのこなどを使った和食という点に注目すると、私たちも和食の生活に戻るほうが良さそうですね。