認知症の記憶障害と健忘の違いについて
「物忘れ=認知症」のように考えられがちですが、誰にでも物忘れはありますし、だからと言って生活に支障をきたすワケではありません。
では、どんな物忘れが、認知症の「記憶障害」なのでしょう?
まず、アルツハイマー型認知症の場合は、エピソードそのものを忘れます。
別の部屋に何かを取りに行って、「必要なモノ」を忘れてしまうのは「健忘」です。
認知症の記憶障害は、「何かを取りに行った」ということそのものを忘れて、部屋の片づけを始めてしまう場合などです。
今回は、認知症の記憶障害について説明します。
認知症による記憶障害の種類
認知症による記憶障害は、古いことは覚えているのに新しいことは覚えられないというものです。
認知症の初期では、忘れないようにとメモをしても、そのメモを書いたという事を忘れてしまいます。
進行してくると、一緒に年をとってきた夫(妻)を忘れて、自分の息子(娘)を夫(妻)と思いこむなどもあります。
認知症の記憶障害の種類には、以下のようなものが挙げられます。
- 短期記憶障害・・・さっきのことを忘れてしまう、同じことを短時間のうちに何度も言う
- 見当識障害・・・自分のいる場所が分からない、今がいつなのか分からない
- 失語・・・物の名前が出てこない、伝えたいことと違う言葉が出てくる
- 失認・・・物を見ても何かわからない
- 失行・・・道具の使い方が分からない
認知症の記憶障害の対処方法について
認知症の初期ならば、ヒントを与えたり何をしていたかを思い出させたりと、本人の記憶をとどめるように接してみましょう。
忘れていることを叱ったり、追いつめるような言い方をしたりすると逆効果です。
家の中で迷うようなら「トイレ」など張り紙をして、認知症の人が困らないようにしましょう。
言葉が出てこない場合は、日常生活のシーンに合わせたイラストや写真を用意するとよいかもしれません。
短時間のうちに何度も同じ質問をするような場合は、認知症の人の不安感の現れかもしれません。
質問の事柄だけを答えるのではなく、笑顔でしっかりと大丈夫と伝えてみてください。