認知症の常同行動とは?
認知症の常同行動についてご説明します。
最近食べ物の好みが替わって、同じものばかり食べているという高齢者の人はいませんか?
万引きを繰り返している中高年の人はいませんか?
もしかしたら、それは認知症の「常同行動」という症状かもしれません。
今回は、認知症の常同行動とは、一体何なのかについて説明します。
認知症の常同行動と種類
認知症の常同行動は、「前頭側頭型認知症(FTD)」に多くみられる症状です。
前頭側頭型認知症による常同行動は、初期から人格の変化が現れます。
真面目な教頭先生が、些細な物を万引きして認知症が発覚、検査の結果、「前頭側頭型認知症」だったというケースがあります。
私が経験した「前頭側頭型認知症」の患者さんは、常同行動の現れとして、「ジャムパンしか食べなくなった」と、御主人に連れられて受診しました。
認知症の常同行動には、4つのパターンがあります。
- 常同的周遊・・・決まったコースを散歩する、途中で万引きをするとか他人の家の花を盗ってくるなど、軽犯罪を繰り返す場合もある
- 時間表的生活・・・電車の時刻表のように決まったスケジュールで生活するなど
- 滞続言語・・・何を尋ねても氏名を答えるなど
- 常同的食行動異常・・・同じメニュー、同じものを食べる
認知症の常同行動の対応
徘徊は、行き先や帰り道を忘れて歩きまわりますが、常同行動は決まったコースで帰ってくるので、軽犯罪などの問題行動が無ければ、制止しなくても大丈夫です。
ある家族は、パン屋さんで万引きを繰り返す患者の常同行動の対応として、予めパン屋さんに代金を払っておくということをしました。
同じものばかり食べる常同行動の場合は、健康上の問題が出てくるので、こだわりを少なくするような薬を医師に処方してもらうとよいでしょう。
前述のジャムパンしか食べない患者さんは、近くの医師に認知症と診断されて、アリセプトを処方されましたが、副作用で歩行障害が出たために神経内科を受診してきました。
前頭側頭型認知症にはアリセプトは効果が無く、むしろ「パーキンソン症状」を併発していて、アリセプトの減量という治療から始めなければなりませんでした。
認知症の診断・治療には専門医を受診することをおすすめします。