認知症が急に出始めることってあるのか?について
身近な高齢者が「急に元気がなくなった」「最近トイレが間に合わなくなった」「言葉が出なくなった」というようなことがありませんか?
このような状態を見て、「認知症になってしまったかな?」と考える人は多いことでしょう。
認知症は「急に出始める」ということがあるのでしょうか?
今回は、認知症の症状が急に出始めた場合の原因や対処法についてお伝えします。
認知症が急に出始めるって、どういうこと?
アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症は、脳細胞に特殊なタンパク質が蓄積することで起こる認知症です。
これら脳細胞の変性による認知症は、病気そのものが急に起こったり、急に悪くなったりすることはありません。
脳血管性認知症は脳卒中の後に起こる認知症で、きっかけがはっきりしていることから、「急に出始める」とは感じないでしょう。
認知症のような症状が「急に出始めた」「2~3週間で明らかに悪くなった」という場合は、次のような病気が考えられます。
認知症のような症状が急に出始める病気
原因:転んだり軽く頭を打ったことで、頭蓋骨内部に少しずつ出血がたまる
受傷後1~3か月後に症状が出始める
転んだり頭を打ったことを覚えていないケースも多い
原因:脳脊髄液の循環・吸収障害
増えすぎた脳脊髄液により、脳全体が圧迫される
(1)(2)の症状
- 軽い頭痛
- 吐き気、嘔吐、食欲低下
- 手足のマヒ、動きにくさ、しびれ
- けいれん
- 言葉が出にくい
- ボーっとしている、ウトウトと寝ていることが多い
- 元気、活気がない
- 物忘れが激しくなった
- 物事が理解しにくくなった
- 歩き方が変わった、転びやすくなった
- ゆっくりしか歩けない
- 歩幅が極端に小さい(狭い)
- トイレが間に合わない、尿意がわからない(尿失禁)
認知症が急に出始めた場合の対処法は?
「慢性硬膜下血腫」や「正常圧水頭症」は、認知症のような症状が急に出始めて「明らかに」悪くなるのが感じられます。
これらの病気は手術などの適切な処置で、改善する可能性の高い認知症です。
早期に「脳神経外科」を受診しましょう。
認知症のような症状が急に出る「慢性硬膜下血腫」や「正常圧水頭症」の治療の流れ
- 医師による問診や触診・歩行状態のチェックなど
- 頭部のCTやMRIなどの画像検査
- 診断により手術が必要な場合は、入院を予約(緊急入院となることは少ない)
- 入院・手術などの治療(入院は1~2週間と短いケースが多い)
退院して認知症のような症状が改善しても、一定期間は継続的に脳神経外科を受診しましょう。
認知症のような症状が急に出始めて明らかに悪くなっている場合、「慢性硬膜下血腫」や「正常圧水頭症」などの病気かもしれません。
早期に脳神経外科を受診することで、認知症が改善する可能性があります。