認知症には波があるってどういうこと?
認知症の人の生活を見ていると、昨日できなかったことが今日はできたり、午前中にできたことが午後にはできなかったり、ということがあります。
認知症の症状の「波がある」といわれる状態です。
認知症の症状や認知症の人の行動には、なぜこのような波(症状の変動)があるのでしょうか?
今回は、認知症の波がある状態についてお伝えします。
認知症の症状に波がある原因とは?
認知症の症状に波があると言われる原因について、見ていきましょう。
まず、多くの人が仕事をしたり家事をしたりと、毎日の日課をこなしながら生活していますね。
社会生活ができる健康な人は、多くの日々を同じように過ごすことができるでしょう。
では、毎日の体調や気分は同じでしょうか?
そんなことはありませんね。ほとんどの人に波があると思います。
普段より疲れていると感じたり、仕事をしたくないという気分だったりする日もあるでしょう。
それでも同じように日課をこなせるのは、「日課をすることが大切(役割)だから」という理性が働いているからです。
認知症の人は、理性の働きが弱くなります。
そのため、少しでも体調が悪いと(たとえそれが便秘などであっても)、同じように行動することが困難になる可能性があります。
また、あるアルツハイマー型認知症の方は、
「1つのことをするのに、とても集中してしなければいけないので、いくつもの事を処理するととても疲れてしまう。」
とも言っています。
認知症により処理能力が低下するために、認知症を患う前ならば無意識にできた事柄も、かなりの労力を必要とするようになります。
このため、その時々の調子が行動に大きく影響して、「症状に波がある」と周囲の人が感じるのでしょう。
認知症の波がある状態の対処法
認知症の波がある状態の対処法についてご説明します。
まず、認知症を患う人は、体調や気分の影響が大きく、症状に波があるということを理解してあげましょう。
あまり無理をさせたり、嫌がることを無理強いしたりするのは避けることが大切です。
ただし・・・かといって、認知症の人を放置したり無関心になったりすることも、賢明ではありません。
入浴や服薬などの認知症の人に必要と思われることは、
- 言い方を変える
- 時間を変える
- 言葉をかける人を変える
などで促してみましょう。
認知症の人は体調や気分で行動などが変化しやすく、症状に波があると考えられます。
「なまけている」とか「もうできなくなった」と考えるのは、少し早いかもしれません。
認知症の人の言葉に耳を傾けて、根気よく対応していきましょう。