認知症の異食行為について
認知症の人の異食行為をご存知でしょうか?
以下は、私が実際に体験した事例です。
夕食後、いつまでもクチャクチャと口を動かして噛んでいる患者さんがいました。
今日の食事には、そんなに噛み切れない献立は無かったのにと思いながら、患者さんに口を開けてもらったら、ティッシュを噛んでいたということがありました。
もう、冷や汗ものです。
美味しいものならともかく、なんでティッシュ? と思います。
ここでは、そんな認知症の異食行為についてご説明します。
認知症の人が異食行為をする原因
認知症の人が異食行為をする原因は、なんでしょうか?
認知症の人は「味覚障害になっているので、何でも食べる」、つまり異食行為に走るという説があります。
確かに、私の経験でも、きれいなパッケージに入っていた石鹸を食べたケースがありました。
ゼリーの詰め合わせに見えたようです。
異食とは言いませんが、隣の人の食事にも箸を伸ばしてしまう認知症の人もいます。
病院や施設でカートに乗っている下膳済のお盆から、食べ残しを盗って食べていたという人もいました。
これらは、異食行為とはちょっと違い、「盗食」と呼ばれます。
「盗食」という言葉が適切かどうかは、意見の分かれるところです。
なぜならば、隣の人の食事に箸を伸ばしてしまう認知症の人は、他にもウロウロしながら他人のバスタオルを持ってきてしまうという行為があります。
その場合、そもそも自分の物と他人の物の区別がついていないと考えられるからです。
認知症の異食行為がある場合の介護の仕方や対策
認知症の異食行為がある場合の介護の仕方や対策ですが、まず食事量は足りていますか?
歯ごたえが無くて、満足感を得られない場合もあるでしょう。
別の見方をすれば、認知症の方に食欲があるということは、その人にとって良いことです。
ただし、異食行為の対策のために、手の届く場所には、口に入れたら危険なものを置かないようにしましょう。
介護者が常に見守れればよいですが、家庭では無理がありますから、日中はデイサービスを利用するなどしましょう。
異食行為は危険な面もありますが、食べてくれない人よりも介護負担は少ないとも言えます。
認知症の人の行動を「困ったもの」と考えるか、「食欲があり心配ない」と考えるかで、介護者の気持ちも違って来ますよ。