認知症の注意障害について
認知症の「注意障害」をご存知でしょうか?
- 「考え事をしながら歩いていて、何かにつまづく。」
- 「急いで外出しようとして、財布を忘れる。」
誰にでもある「うっかり」ですね。
これらは、別の事に気をとられて注意力が低下したためにおこることです。
認知症でも注意障害が起こります。
認知症による注意障害では、電話で話をすることなども困難になります。
今回は、認知症の注意障害についてお伝えします。
認知症の注意障害には、どんなことがあるの?
認知症の注意障害とは、どのようなことを現すのでしょうか?
私たちは普段から何気なく、「注意力」を使って生活しています。
例えば、「歩きながら計算する」「電話で話をする」などが出来るのは、注意力が働いているからです。
認知症の注意障害では、そのような意識が失われていくと考えられます。
認知症の注意障害の種類
(1)容量性注意障害
いわゆるマルチタスクが出来なくなることです。
「歩きながら計算する」では、足元や向かう方向に注意しながら、計算もしなければ行けません。
見えている情報を処理しながら、頭の中では計算もしているワケです。
このように、一度に複数の情報を処理することが、認知症では困難になります。
(2)持続性注意障害
一つの事に注意を向け続けていることが、困難になります。
例えば折り紙をする場合、途中で止めてしまったら作品はできませんね。
(3)選択性注意障害
注意障害が無い場合、周囲で多少の物音がしていても、電話で相手と話をすることが出来ます。
ところが、認知症の注意障害がある場合、周囲の物音に気をとられてしまい、電話で会話することが困難になります。
認知症の人は、「うるさくて話が聞こえない」と表現する場合もあります。
電話の「声」を選んで集中することが、困難になっているためです。
(4)転換性注意障害
一つの事に集中して、他の事に注意を向けることが出来なくなります。
認知症の人では、着替えをしている時に食事が来ると、食卓のほうに歩き出してしまうという行動が見られます。
認知症で注意障害があるときの対処法や注意点
認知症で注意障害がある場合は、理学療法士によるリハビリテーションが有効です。
自宅では、日常生活の日課などを明らかにしたり、声をかける時に工夫をしてみましょう。
注意障害のある認知症の人との接し方
- 日課や行動予定を目立つ場所に貼り出す
- 出来るだけ予定を変えない
- 行動の指示は、一つづつする
- 一つの行為が終わったら、次の指示をする
- 上手く出来たらほめる
- 興奮した場合、ゆっくりと見守る(深呼吸するように促してもよい)
認知症で注意障害があると、日常生活で困難なことが出てきます。
また、にぎやかな場所では、疲れやすくなる傾向にあります。
静かで落ち着いた場所で、一つづつ動作を指示するなどして、認知症の人の負担を減らしましょう。