認知症の日内変動って何?
認知症の「日内変動」という言葉を聞いたことはありますか?
日内変動とは、脳にある「体内時計」によってコントロールされている、体温、心拍数、血圧等の値や、覚醒と睡眠のリズムが1日の内で変動することです。
認知症の方の日内変動は、認知機能や運動機能に激しい変動がみられます。
例を挙げてみましょう。
- 朝は機嫌が良かったおじいちゃんが、昼になると言葉が荒くなり怒りだす
- あるおばあちゃんは、夕方になると落ち着かなくなり、攻撃的になる、介護に抵抗がある
このような状態のときは、認知症による日内変動が起こっている可能性があります。
認知症の日内変動の原因は?
では、認知症の方の日内変動の原因をご紹介します。
抑うつやパーキンソン症状、幻視、意識障害を伴う認知症のひとつです。
症状の変動が大きいことが特徴であり、日内変動が起こる原因です。
認知症の方の生活環境が変わることでせん妄が起こります。
認知症がある方が急に入院をした、飲んでいる薬が変わったなどの環境の変化がせん妄の引き金になります。
ぼんやりした状態、興奮、幻視などの症状がみられ、時間とともに状態が変動します。
とくに認知症の方はせん妄を起こしやすいといわれています。
認知症の方の日内変動は、生活リズムの乱れから起こりやすくなります。
高齢者は不眠になりやすく、さらに認知症の方の約30%に睡眠の障害があります。
夜間にしっかりと休むことができないことにより、日内変動が起こる場合があります。
それでは、次章で日内変動の対応をご説明しましょう。
認知症の日内変動の対応
認知症の介護者にとって、いつも穏やかなおじいちゃん(おばあちゃん)でいてくれたら良いのに、という願いは当然のことです。
その介護者を悩ませる、認知症の方の日内変動の対応・予防方法をご紹介します。
レビー小体型認知症の治療として、薬物療法があります。
心身の状態が安定し、幻視を軽減する効果があるといわれています。
まず、脳神経外科でレビー小体型認知症であるかどうか診断を受けてください。
レビー小体型認知症の方の具合が悪くなったときは、無理をせずに休むように勧めましょう。
予防には、よく笑い、よく話し、役割をもって、活き活きとした生活を送ることが大事です。
生活環境の変化をできるだけ抑える関わりが必要です。
身体の不調が起こっていないか、慢性疾患が悪化していないか、薬が変わっていないか(ご自分で勝手に新しい薬を飲んでいないか)など、認知症の方の様子をよく見てくださいね。
強い不安やストレスにより、せん妄が起こる場合があるので、安心感を与える声かけを心がけてください。
幻覚や妄想を否定すると、ますます不安定になってしまいます。
日中にしっかりと目覚めている時間を作りましょう。
太陽の光が当たる場所へ行き、運動や会話を楽しんでもらってください。
夜間は、認知症の方に夜だということを認識してもらいます。
照明を暗くする、「もう夜ですね、おやすみなさい」という声かけなどが効果的です。
誰でも1日が楽しく始まり、楽しく終わってほしいと考えます。
しかし、日々の生活のなかでは、さまざまなことが起こり、嫌な気分や悲しい気分になることがあります。
認知症の方も同じです。「機嫌の悪いときもあるよね」ととらえ、認知症の方の想いに寄り添うことが、介護が楽しくなる重要なポイントですよ。