認知症で口に溜め込む?
認知症患者の中には、食べ物を飲み込まず口に溜め込むというケースがあります。
認知症の方が口に溜め込む原因としては、2種類考えられます。
一つ目が、本人の意思からくる介護拒否です。
二つ目が、飲み込むための機能の低下からくるもの、この2種類です。
ここでは、そんな認知症の方が口に溜め込むというケースについてご説明します。
認知症で口に溜め込む原因とは?
認知症の方の介護拒否の場合は、本人の意思で口に溜め込むわけです。
なので、口の中には入れても、そこからわざと噛まずに飲み込んでくれなかったりします。
この場合、会話が出来たり理解が出来るようであれば、なにが原因で溜め込んでしまうのかがわかるはずです。
例えば、嫌々口に入れたものの、そのままにするので話を聞くと、「私はおかゆなんか食べたくないのよ!」と、怒りながらも「なぜ口に溜め込むか」の理由を言ってくれたりします。
食事の味が好みではなかったり、食事の形態(きざみ食など)に納得がいっていなかったり、そもそも食事介助をされて食事がしたくないなど、原因はさまざまです。
本人の意思とは別に、認知症が進んでいる場合、口に溜め込むことがあります。
その場合、食事しているのに今何をしているのかわかっていなかったり、食べ物を食べ物と認識していなかったりします。
例えば、実際に私が勤めていた介護施設にいた方は、
- 口に溜めたまま手を動かして折り紙を折っている仕草をしている
- 他の人が食事をしている姿をジーっと見ている
- 口に物が入っている状態のまま飲み込むことを忘れ、突然おしゃべりを始めてしまう
といったことがありました。
そして厄介なのは、機能低下による嚥下障害(物を飲み込む力がなく飲み込むことが出来ないこと)の場合です。
飲み込みたくても飲み込めないこともあります。
これは本人や介護者がどうこうできるものではなく、のどに詰まらせてしまう危険もあるため、食事を摂らせるのは難しくなってきます。
認知症で口に溜め込む方への対処方法
認知症の方の意思でこのような状態になってしまった場合は、本人によく話を聞き、何が原因で口に物を溜め込んでしまうのかを聞いてみてあげてください。
歳を取ると、どうしても食が細くなります。
聞いた中で、解決できること(好き嫌いしているだけだった、など)は解決してあげ、食事に対する意欲を持たせてあげることも大事になってきます。
認知症で、食事の仕方がわからなかったり、食べ物を食べ物だと認識できない、そもそも何をしているのかすらわからないといった場合には、声掛けが大事になってきます。
「今からご飯を食べるよ」
「これは大根の煮物だよ」
など、今やることに説明をしてあげると良いでしょう。
また、本人の目の前に座って一緒に食事をし、食事の仕方を真似してもらったり、「これ、好きなものだよね。」など、食事の時間を楽しみながら食べてもらうことも大切です。
食事に集中できていない場合は、環境を変えてあげてみてください。
例えば、テレビを見てしまって食事をしてくれない場合は、テレビを消すことや、テレビ自体を食事する部屋のは置かないようにしたり、食事をする場所や角度を変えてみたりすると、食事に集中できると思います。
そして、一番注意が必要なのが機能低下による場合です。
口にものを溜め込んだままにしていると、誤嚥(食堂に流れず、器官に流れてしまうこと)を引き起こす可能性があります。
食事の前に行う、嚥下体操というものがありますので、食事の前に一緒にやってみてください。
また、食事を摂る体制にも気をつけることが大事になってきます。
ベッド上での食事なら、背もたれを30度上げ、頭の後ろに枕などを入れこんであげてください。
食事は生きていく中で必要不可欠です。
なぜ、口に溜め込んでしまうかの原因を早急に見つけてあげることが重要です。