認知症でキレるというケースについて
認知症の症状の1つに、怒りっぽくなって「キレる」という症状があります。
認知症でキレるのは、とても多く見られることで珍しいことでも何でもないのです。
初期症状としても見られますが、認知症が進んでしまってからも怒りやすくなる症状は続きます。
怒り方はさまざまで、暴言はもちろんのこと、暴力を振るう場合も多いです。
ここでは、そんな認知症患者がキレるということについてご説明します。
認知症でキレる原因とは?
介護士として認知症患者に接する場合と、身内を介護している場合とでは、また状況が異なってくるとは思いますが、キレやすくなったいうことから認知症が発覚するまでは、身内の場合気付きにくい傾向にあります。
例えば、元々頑固であまり人の話も聞かず、キレやすい人だった場合、それが女性だったら「更年期障害かも」と思ったり、男性だったら「定年退職をして精神が安定していないのかも」など、疑問には思っても「認知症かも」と疑うまでにはいかない場合が多いのです。
そもそも、認知症になるとキレやすくなるのは、脳の機能が低下してしまうため、自分の感情をうまくコントロールできなくなってしまうことが原因です。
人は誰しも腹が立つことがあれば怒りますが、時と場合によってはその怒りを抑えることができますよね。
しかし、認知症患者はこの抑えが利かなくなってしまうために些細なことでもすぐにキレてしまうのです。
また、認知症の症状が出始めると、今まで当たり前に出来ていたことが出来なくなってきたり、話がうまく理解できなくなってきたりします。
そのため、本人が日々苛立ちと戸惑いを感じ、自然とストレスが溜まっていくためキレやすくなるということも原因のひとつに挙げられます。
最近よくキレるなぁと思ったら、可能性として認知症も疑ってみてください。
認知症患者がキレる場合の対応と注意点
認知症が原因でキレる方に対しては、どのように接すればいいのでしょうか?
そもそも、なんでキレているのかすらよく分からないなんてこともあるかと思います。
私が働いていた施設でもキレる認知症患者は多く、それに対してうまく対応が出来ない職員がとても手を焼いていたのを覚えています。
どうして手を焼いてしまうのでしょうか。
そのような職員の多くは、怒っている認知症患者に対して、否定的な言葉を発してしまったり、めんどくさい態度をとってしまうために、さらに怒らせてしまうというケースが多く見られました。
健常者でも、怒っているときにこんな対応をされたら頭にきますよね。
認知症患者も一緒なのですが、怒りを抑えるということが出来ないので、もっとエスカレートしてしまう場合もあります。
男性も女性も性別は関係なく、怒りが強くなると爪を立てたり、噛んでみたり、殴ってきたりと、暴力を振るうこともあるのです。
そのようなことを未然に防ぐためにも、キレている相手に対して否定はせず、肯定してあげると怒りが治まりやすくなります。
なるべく話を聞いて、共感してあげてください。
身内の場合は、わかっていてもなかなかこのような対応をとれない場合もあります。
介護者がいっぱいいっぱいになってしまっては元も子もありません。
冷静な対応ができなくなってきたら、専門施設に相談してみたりして、少し距離を置くことも大切な選択のひとつです。
また、認知症を治すことは出来ませんが、認知症の症状を抑えることが出来る薬もあります。
怒りを抑えることもできるので、早いうちに専門医へ受診することもお勧めです。