認知症と無気力の関係性について
認知症の方が無気力になって、ボ~っとしている姿を見かけたことはありませんか?
実は、あまり知られていませんが、認知症の初期症状として、無気力になることがあります。
無気力とは、何に対してもやる気がなくなってしまったり、熱意が消え失せてしまうといった状態のことを指します。
もちろん、一般的にも、やる気が起きない場合に、無気力という言葉はよく使うかと思います。
しかし、なぜ認知症の「初期症状」として、無気力が挙げられるのでしょうか?
段階を追って考えてみましょう。
認知症で無気力になる原因とは?
まず、普通に生活している中で認知症の症状が現れてくると、忘れっぽくなってきます。
今まで問題なくできていたことができなくなったり、思い出せなくなってくるのです。
- 長年決まった場所にある通帳の場所が思い出せない。
- その日に食べたものが思い出せない。
- そもそも食事を摂ったかすら思い出せない。
などなど、いろいろとあります。
やっても忘れてしまう、考えても思い出せないことに苛立ちショックを受け気が滅入ってしまい、結果何をしてもうまくいかないという思いから、無気力になってしまいます。
長年好きでやっていた趣味なども、突然熱意がなくなってしまい、めんどくさくなり投げ出してしまうのです。
こうなると、日々の何気ないこと(起きて着替えをすること、歯磨きをすること、顔を洗うことなど)ですら、おっくうに感じるようになり、やらなくなってしまいます。
無気力になってしまったために、何をするにもめんどくさく感じるようになってしまい、何もせず家に引きこもるようになってしまう、というループに陥ってしまいます。
人と会うことも、話すこともしなくなり、ボーっとしている時間が増えてくると、必然的に認知症の症状はますます進んでしまいます。
このようなことから、認知症の初期症状に無気力になることが認められているのです。
認知症による無気力の対策
無気力になり、何もしなくなると脳が衰退していくため、認知症の悪化にも繋がります。
では、認知症による無気力を改善する方法はあるのでしょうか。
一番は、何かをする機会を増やすことです。
身近に無気力になり認知症の疑いがいる場合は、まず会話をすることからはじめ、少しずつでもいろんな所に連れ出してあげることが大切になってきます。
人との会話は、脳を活性化させるので、認知症の予防になりとても効果があります。
そして、外に出てみることで、たとえそれがただの散歩でも、全身を使って歩き、景色を眺めながら、外の状況を目や耳や肌で感じることができるので、無気力でもすっきりした気持ちになれるのです。
そして、自分が無気力になっている場合ですが、とにかく些細なことでも予定を入れてみることから始めるといいかもしれません。
おっくかもしれませんが、自分の為に少しでも外に出て行くようにしましょう。
とにかく無気力状態になったからといって、そのまま何もしないでいることが一番危険です。
体に負担にならない程度にやれる限りのことはやってみましょう。
次は、無気力になっている方に対しての注意点を挙げてみます。
まず先程も述べたように、無気力になる原因は認知症による物忘れにあります。
認知症からの無気力は初期症状に当たるため、物忘れが激しくなっていることに戸惑い、苦しんでいます。
ですから、それに対して「また忘れてしまったの?」など、傷をえぐるような発言や態度は、さらにやる気をなくさせてしまい、無気力を助長させてしまいます。
このようなことは絶対に避けましょう。
何もできないと思わせるのではなく、もし失敗してしまったとしても、やったことに意味があるということが伝わるように接することが重要なのです。